2017年の夏の甲子園で、広島広陵高校の中村奨成くんが野球ファンに凄まじい衝撃を与えています。
もともと注目度で断トツであった清宮幸太郎くんの所属している早稲田実業が予選敗退してしまったため、メディアも盛り下がっていたところですが、中村くんがとんでもない偉業を残してホクホクでしょう(笑)
ファンにとっても、予想外に盛り上がれる材料が出てきて非常に楽しませてもらっていることだと思います。
まさに、人勧万事塞翁が馬ですね。
ここでは、中村くんのバッティングのヤバさと、ドラフトでどちらの方が注目されそうか、そしてその理由に迫ってみたいと思います。
広陵・中村奨成のバッティングはどうヤバいのか
現在世間で大きな話題になっているのは、広陵・中村奨成くんが一大会での甲子園通算ホームラン数の記録を塗り替えたことです。
しかしながら、実のところ中村くんがすごいのはホームラン数だけではありません。
広陵・中村奨成くんが準決勝終了時点で残している打撃成績は以下になります。
広陵決勝進出おめでとう!
化け物 広陵中村捕手のここまでの成績#高校野球 pic.twitter.com/dQ2W90kR2e— かゆ (@kayu0330) 2017年8月22日
このように、どれを取ってもブチ抜けているのです。
打率 .695って全盛期イチローの好調時のような数字ですし、打数が23で6本塁打であることから、本塁打率 3.83になるのですが、これはプロ野球界における最高のスラッガーの調子が良いときのような数字です。
ですから、打数が少ないから単なる確率の偏りなのではないか、という考え方は彼には当て嵌らず、完全に実力に裏付けられた結果である、ということが言えます。
※ちなみに、地方大会ではヒット3本しか打っていないのですが打数が17と極めて少ないのであまり当てにならないですし、うち2本がホームランなので十分だと思います。
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バッティング以外の能力
広陵・中村奨成くんが凄いのはバッティングだけではありません。
さらに50メートル6秒の俊足と遠投120メートルの強肩。
まあ彼はキャッチャーなので足の速さや遠投の距離はあまり関係ないのですが、それでもプロに入るとコンバートもあり得るので、その際にも十分に対応できるポテンシャルを兼ね備えている、ということになります。
≪中村くんの経歴や家族等≫
ドラフトで清宮幸太郎越え!?
正直なところを言うと、広陵高校の中村奨成くんが2017年度のドラフトにおいて、評価面で早稲田実業の清宮幸太郎くんを越えるのはほぼ確実だと私は見ています。
確かに、清宮くんは凄いです。
高校通算107本塁打は現時点で歴代最高の数字となっています。
それに対して、中村くんのプロ入り通算は45本前後。
半分以下しか打っていません。
それにもかかわらず、なぜ清宮くんより中村くんの方がより評価されるのかというと、一つの大きな理由は清宮くんからは表面上の数字以外の価値が見えて来辛いからです。
その理由はまず、そもそも高校通算ホームラン数があまり当てにならないことが一つ。
高校通算ホームランランキングの清宮くんを除くベスト3
- 山本大貴(107本)
- 黒瀬健太(97本)
- 伊藤諒介(94本)
は、いずれもプロで大成していません。
山本さんと伊藤さんの二人は社会人に進んでいますが、いずれもパッとしない成績で、黒瀬さんは現在ソフトバンクに所属していますがこちらもそれほど良い成績を収めているわけではないのです。
そしてもう一つの理由は、清宮くんは高いレベルでのホームランが少ないこと。
つまり練習試合であったり、あまりレベルの高くないピッチャーから打ったホームランが多いということです。
たとえば、上に挙げた本塁打ランキング上位3人のうち、甲子園でのホームランは伊藤さんの一本だけです。
清宮くんは一応2本打っていますが、たとえば高卒一年目で3割30本という偉業過ぎる成績を叩ぎ出した清原和博氏は甲子園通算13本、全打席敬遠をされてある意味伝説となった松井秀喜氏も5本打っています。
もちろんチーム自体が弱くてなかなか甲子園に出場できなかったりしたらしょうがないのですが、それを差し引いても少しインパクトが弱いというのは大方の見方となっていますね。
その点中村くんは、前述のとおり今年の甲子園ですでに新記録となる6本もホームランを打っています。そしてホームラン数だけでなく、打率もとんでもないことになっています。
仮に清宮くんが甲子園に出場していたとして、調子がかなり良かったとしてもここまでの成績を上げるのはかなり難しいのではないかと私は思います。
あともう一つ理由を挙げると、高校通算というのは3年間通しての成績です。
それは見方を変えれば、現時点での実力を的確に反映させたものではないということです。
たとえば、バッティングというのはプロであっても突如として成長する人がいます。プロであってもそうなのですから、高校生であれば尚更でしょう。
その視点で言えば、中村くんの打撃が3年の夏になって一気に開花したと捉えることはできます。となると、現時点の打撃力がすでに清宮くんを上回っている可能性は十分にあるのです。
恐らく、多くのスカウトやプロ関係者はそのような受け取り方をするのではないかと思います。今までに例がないほど打ちまくっているわけですから、マグレでできる芸当ではないのは明白ですからね。
バッティング以外の能力の差
それに加えて、中村くんは打撃以外の能力も高い。
しかもキャッチャーという、現在日本プロ野球界において不作と言われているポジションです。
そんなポジションをまともにこなし、かつこのような驚異的な打撃を見せられたら惹かれないわけがないでしょう。
それに、仮にキャッチャーとしてなかなか適性が見い出せなかったとしても、彼レベルの身体能力さえあれば最悪他のポジションにコンバートすることは容易です。
それに対し、清宮くんは肩も足もあまり優れていません。
あの長打力ですからもともと瞬発力そのものはあるのですが、過去の怪我によってまともに機能しなくなってしまっているのです。
そのため、守備力にはあまり期待ができず、できても打撃以外当てにならない助っ人外国人のような状態になると考えられます。
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結論:広陵・中村が化け物過ぎる
もちろん、繰り返しますが清宮幸太郎くんも十分凄いです。
現に高校通算ホームラン数があまり当てにならないとはいえ、高校通算ホームラン数とプロ入り後のホームラン数には何だかんだ相関関係があります。正比例はしませんが、ホームラン打者としての資質を測ることはできるわけですね。
また、清宮くんのパワーが高校生離れしているのもポイントです。
パワーは明らかに中村くんよりも上だと思いますね。
パワーのある打者というのはバッティングのコツを得た際に大爆発するようになりますから、ポテンシャルは十分と言って良いと思います。
どちらも逸材には違いないのです。
ですがトータルで見た場合、現時点の評価と価値を考えたら、やはり清宮幸太郎という逸材は中村奨成という逸材には2歩、3歩及ばないと思います。
そもそも中村くんの素材・将来性というのは正直言って歴代トップクラスなのではないかと私は考えているので、ちょっと比較されること自体が酷なのではないかとも思うのですが。