28歳にしてメジャー屈指のホームラン打者となったジャンカルロ・スタントン。
しかしながら、今でこそ注目の的となっていますが、彼は本当にそれに値する選手なのでしょうか。
打者としてのその価値は一体どれほどのものなのでしょうか。
スタントンの成績とホームラン60本の価値とは
打者を測るための最適指標
ホームラン数というのは、打者を測るための指標の一つに過ぎません。
たとえばホームラン数は同じであっても
- 打席数
- 打率
- 四死球数
等の違いによって打者の価値は全然違ってきます。
打席数が多ければ多いほど、ホームランを多く打つのは当たり前ですよね。
打率が高い方が良いのは言わずもがなです。
四死球数について、これも重要な指標です。
四球が多ければその分出塁率が上乗せされるので、打率が同じなら四球は多ければ多いほど価値が高いことになりますからね。
そしてこれらを総合的にまとめて数値化した指標が、opsになります。
計算式も出塁力+長打力と大変シンプルですが、万能ではないにしろ得点との高い相関関係は認められていて、特に走塁と守備抜きの単純な打者としての実力を測る上でこれほど便利な指標はありません。
つまりopsは高ければ高いほど、強打者の証になるのです。
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スタントンのops
では、9/11現在のジャンカルロ・スタントンのopsがいくつなのかというと、
1.022
となっています。
これは相当強打者的な数値ではありますが、歴史に名を遺すほどのレベルではありません。
現に、メジャー全体を見渡せば今シーズンでも彼に近いops(1.000以上)の選手は
8人います。
その中でトップはワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパーで、そのopsはなんと1.108。
彼の現在のスタッツ(成績)の主な内訳としては、
打数 402
打率 .326
本塁打 29本
四球 66
では、スタントンと比較して何が差になっているかと言うと、それは打数と打率です。
ホームラン数は確かにかなりスタントンよりも少ないですが、打数に差があります。
スタントンの現在の打数は520なので、ホームランが多くなるのは必然なのです。
打率については、スタントンの現在の打率が.281ですから、スタントンより大幅に上回っていることがわかりますね。
これは出塁率と長打率に大きく影響を与えることになります。
ちなみに、歴代最強の打者とされるバリーボンズの年間最高opsは1.422となっています。
まさに桁外れですね(笑)
これはもちろん、メジャーリーグ記録です。
また、日本で歴代最高の打者とされる王貞治さんの年間最高opsは1.293。
バリーボンズには及びませんが、こちらもとんでもない数字です。
しかも、両者とも生涯のopsですら1.000を越えているのも特徴です。
決して脂の乗った時期だけではなくて新人であったり、あるいはベテランで衰えた時期を合わせてもそうなってしまうのですから、彼らの驚異さが伺い知れますね。
60本超えの価値とは
と考えていくと、
「あれっ?スタントンってそこまで凄くないの?」
と思われる方もいるかも知れませんが、それは半分当たっていると私は思います。
ですが実のところ、これは打者として凄い凄くないの問題ではないのです。
ホームラン60本超え自体に、莫大なインパクトがあります。
その理由は、まずメジャーにとって60本というのはある意味で聖域であることです。
ベーブ・ルースが1927年に60本を記録してから、1961年にロジャー・マリス、1998年にサミー・ソーサとマーク・マグワイア、2001年にバリー・ボンズ等が達成しましたが、結局歴代でこの5人だけです。
日本でも50本塁打を越えた打者というのは王貞治さんを筆頭に数人しかいませんから、一種の聖域として扱われるところになります。
その内容(ops等)はどうであれ、50本を超える打者が現れたら間違いなく大騒ぎになるでしょう。それが日本人打者ならなおさらですね。
もう一つ、重要な理由があります。
それは、実はベーブ・ルースとロジャー・マリスを除く60本を超えた打者たちについては薬物疑惑が残されたままで、真相は藪の中となっていることです。そして、恐らく使用していただろうという観方が大勢です。
つまり、スタントンが61本を超えたら、本当の意味での記録更新である、と考えている人達は多数いるのです。
ですから、アメリカのメディアもその空気に便乗しようと必死になっているように見えますね。
ちなみに、ロジャー・マリスには薬物使用はないと思いますが、彼の場合は単純にホームランだけ多くて、総合視点(ops等)でみたら選手としてベーブ・ルースに値しなかったために、ルースの記録を超えるに相応しくないとして叩かれていたそうです。
そう考えると、少し気の毒ですねw
スタントンは成績的には少し物足りませんが、立場的にはクリーンで記録なるかということでむしろ歓迎されているので、本人もモチベーションになるのではないでしょうか。
ジャンカルロ・スタントンのパワーの源、筋肉の画像&動画がヤバい!
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イチローもパワプロ評価?
また、日本ではイチローの同僚ということでも注目されていますね。
イチローはスタントンのバッティングについて、次のように語っています。
「小学生の頃に発売されたファミコンに、野球のゲームがあったんですよ」
「初めは日本の球団しかなかったんですけど、新バージョンには、ホームランしか打たないメジャー球団があったんです。僕たちが今目撃していることは、まさにそのゲームですよね。まるでファミコンのゲームですよ」
恐らくそのゲームはファミスタ(ファミリースタジアム)でしょうね。
今では野球ゲームと言えばパワプロ(実況パワフルプロ野球)ですが、パワプロはファミコンでは発売されていませんから。
ファミコンでファミスタとタメを張る有名な野球ゲームとして燃えプロ(燃えろプロ野球)がありますが、こちらではメジャーリーガーは出て来ませんから。
昔のゲームというのはバランスが滅茶苦茶なものが多かったので、バットに当たればホームランというのも普通です。
バントでホームランもありましたからね(笑)
今のスタントンを見てると、打率が低いのもあってまさにそんな状況になっていますから、イチローの例えは秀逸だと私も思いますね。
ちなみにスタントンはパワプロ最新版であるパワプロ2016に登場しません。
メジャーリーガーですから当たり前ですが、たとえ登場したとしても特にぶち抜けた能力になるわけではないので特に面白くないと思います。
ただ、それでもパワプロメジャーリーグは復活して欲しいという気持ちはありますけどね。メジャーにも詳しくなれますし。