現在メジャーリーグのミルウォーキー・ブルワーズに所属しているエリック・テームズという選手が、日本人を驚かせています。
日本人が驚くような活躍のメジャーリーガーですから、一体どのくらい凄い活躍を見せているのかと思われるでしょうが、実はその驚きの理由は実際の成績だけではありません。
このエリックテームズ、実は昨年まで韓国のプロ野球チームに在籍していたのです。
ここでは、エリックテームズのこれまでの経歴と、打者としての特徴を取り上げていきたいと思います。
エリック・テームズの略歴
エリックテームズは1986年11月10日生まれで、2017年は31歳のシーズンとなります。
ペパーダイン大学に通っていた2007年に名門ニューヨーク・ヤンキースから指名されるも、ドラフト39巡目で全体1191位という低い評価もありプロを選ばず。
ですが翌年の2008年は評価を上げ、7巡目で全体219位になり、そのまま指名を受けたトロント・ブルージェイズに入団します。ですから、ちょうど大学を卒業する時期のプロ入りとなりました。
そしてプロ入りして二年後の2010年から、本格的に目立ち始めます。
2010年はAA級で
打率.288 27本塁打 104打点
とチームの主力として活躍。
2011年にはAAA級に36試合出場した時点で
打率.342 6本塁打 30打点
と素晴らしい成績であったために、メジャー初昇格&デビューを果たします。
そしてメジャーでも最終的に392打数で
打率.262・12本塁打・37打点
という、十分にレギュラーに値する成績を残しました。
しかしながら2012 2013年はスランプに陥り、メジャーに留まることはできず、マイナー暮らしが続いていた中で2013年12月に自由契約となります。
それから活躍の場を求めて2014年より韓国球界に移籍し、NCダイノスという球団で2014年から2016年までの3年間で
打率 .349 124本塁打 382打点 ops 1.172
という凄まじい成績を残しました。
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メジャー復帰で打棒爆発
この韓国球界での大活躍が認められ、エリックテームズは再びメジャーからオファーを受けることになります。
2017年シーズン、ミルウォーキー・ブルワーズと3年総額1500万ドルで契約し、メジャー復帰。
6月24日時点で、68試合に出場し
打率.253 22本塁打 40打点
と、驚異的なペースでホームランを量産しています。
もともとメジャーで失格の烙印を貼られた身としては驚きの復活劇ですね。
とはいえ、4月は打率は3割以上ありましたし、4月にチームの月間ホームラン記録を塗り替える大爆発を見せていたので、それと思うとかなり勢いは落ちています。それでも、もともと逆輸入で打ってくれたら儲けものくらいの気持ちで獲得された選手なので、チームとしてはこの水準で行ってくれたら大成功と言えるのではないでしょうか。
では、実際にこの水準で行くのかと言えば、それはエリックテームズが韓国球界にいた3年間でどれだけパワーアップしたか次第でしょう。一ヶ月だけなら確変で異常な爆発をする打者はたまにいますからね。
実際のところどうなのでしょうか。
筋肉が異様に発達
実はこのエリック・テームズ、韓国球界在籍中の3年間で、恐るべき変貌を見せています。
だったのが・・・・・・
腕の太さがヤバいことになっていますし、それ以前に全体のボリュームが明らかにアップしています。これだけ筋力が増えれば、その出力も間違いなく違ってくるでしょう。
私が思うに、この変化こそがメジャーに戻ったときに以前メジャーにいた際よりもホームランを量産できている要因であると思います。
しかしながら、ここで一つの疑問が沸き起こってきます。
これだけの筋肉量の変化は本当に可能なのだろうか?です。
いくら筋トレしたとはいえ、それまでもトレーニングをしていたはずなのに腕の太さが2倍以上にもなるなんて、かなり驚きですし、捉えようによっては不自然でもあります。
薬の疑いで薬物検査も
それはどうやら、メジャーリーグ関係者も同じように感じていたようです。
メジャーでは、試合後に薬物の抜き打ち検査を実行されているのですが、そこでは公式にはランダムで選手が選ばれているとされている一方で、現実には急に目立った活躍をするようになった選手等が明らかにターゲットにされているとも言われています。
エリックテームズも、まさにそのターゲットにされた一人で、開幕一ヶ月で二回の検査を受けました。
大体平均すると各選手は年6、7回程度の検査になるのですが、やはりランダムというのはただの名目に過ぎないのでしょう。もちろん、それが悪いとは思いませんし、むしろ効率的だとは思いますけどね。やはり見た目と成績であまりにも大きな変化が見られた選手の方が、やはり完全に怪しいわけですから。
しかし選手側としては、それは逆にしっかりと身の潔白を証明する機会になるので、もし何もやっていないのであればそれはそれでメリットとも言えるでしょう。
実際エリック本人もかなり余裕しゃくしゃくですし、むしろ前向きに捉えているようです。
「ここに戻ってくるまでに随分と遠回りしてきたからね。自分にとっても今起こっていることは驚きだ。今年に関しては何の目標もないし、なにか記録を更新しようなんて考えてもいなかった。ただここでうまくいくかどうかを確かめるため、自分が韓国で学んだことを生かしたいと思っているだけだ。ここまでの結果にショックを受けているよ。
とにかくここで野球をするために戻ってきたので、健康を維持し、力を発揮できるように最善を尽くしたい。周りの人々が自分が何か(薬を)やっているんじゃないかと考え続けるのなら、自分はいつでもここにいるよ。血液も尿もたっぷりあるからね(笑)。問題ないよ」出典:ヤフーニュースより
このコメントの限りだと、何もやましいことはなさそうですね。
自力でムキムキになり、ホームランを量産しているようですからこの調子で頑張って欲しいです。
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日本なら成績はどうなっただろうか
エリック・テームズは韓国リーグからメジャーに里帰りしましたが、実はもともと日本に来るという噂もありました。
いくら韓国で圧倒的な成績を収めていると言っても、やはり一度メジャーからドロップアウトした選手はなかなか出戻りすることはありません。これは日本で活躍してる元メジャーリーガーにも言えることですが、結局メジャーでは駄目だったというレッテルが貼られてしまっているのです。
そういう意味では、エリックテームズのようにメジャー球団が年換算で約500万ドル(約5億円)も用意して取りに来るというのは極めて稀であり、本来のルートで言えば日本に来たはずなのです。
前置きが長くなりましたが、ここでもし日本に来ていたら、どのくらいの成績になってたであろうか、について考察してみたいと思います。
エリックテームズの特徴は、そのパワーに加えてバットコントロールも備わっていることです。
そのため、韓国時代はアベレージとホームランの両方を同時に残すことができています。
韓国時代のホームランの一年平均は40本程度であり、打率.350かつホームラン40本の水準というのは日本プロ野球の歴史でも、達した人は大体3冠王になっています。いくら韓国球界が日本よりもレベルが下でかつ打高リーグだとはいえ、ここまでの成績を上げるのは今日本で活躍している一流打者でもほぼ不可能でしょう。
また、現在メジャーでは打率を残すことができていませんが、これは良助っ人にありがちなことです。
日本の各球団にスカウトされる助っ人外国人というのは、得てしてメジャーでホームランはそこそこ打っているのですが、打率は残していません。その代わり、一つ下のリーグ(AAAやAA)では、しっかりと打率も残しています。
つまり、「メジャーでもホームランを打てるパワーがあり、かつレベルの下がるリーグであれば確実性の伴ったバッティングができる、という選手が一番当たる可能性が高い」という考えがベースにあるのです。実際、エリックテームズもメジャー以外では常に高打率を残しています。
であれば、日本に来ても恐らく打率は残せると考えることはできます。
しかももともとパワーもあるので、普通にやればホームランも30~40本くらいは打てるでしょう。
もちろん、実際のところ指標が良かったり前評判ばかり高くても、日本の野球に対しての適性がなかったり、精神的な問題で嵌ったりすると、全然打てずにそのまま終わっていく選手もたくさんいます。
それでもテームズという選手の特徴を見ていくと、3割~3割3分で30~40本くらいの神助っ人と呼べるレベルの活躍ができる可能性は高かったと思います。
ちなみに、横浜と中日でホームランバッターとして大活躍したタイロン・ウッズは、韓国で活躍した5年間と、日本での6年間の通算opsがほとんど同じです。これはただの一つの基準に過ぎませんが、テームズも日本野球に順応できれば、韓国時代より成績を伸ばすまではいかなくとも、同じくらいにはなることもあるわけです。