日本の外国人労働者の数は2016年10月に100万人を突破。

これは2015年比19.4%の増加になり、4年連続の増加となります。

この中で最も伸びが大きいのが意外にもベトナム人労働者です。

ここ3年ほど50%以上の伸び率を記録しており、2012年から2016年にかけて約17万人も入国してきていることになります。

これは中国に次いで多い数字であり、今後増加していく事が予測されます。

さらに、政府は人手不足の職種に外国人労働者(移民)の受入を積極的に行っていく政策を推進しており、今後も日本における外国人労働者は増加していく事になるでしょう。

日本は単一民族単一国家という世界でも珍しい国です。

この国が移民を受け入れることでどのような事が起こっているのか、また今後どのような課題があるのかといった、現状と政策の問題点(デメリット)についてなるべく分かりやすく取り上げていきたいと思います。

 

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移民とは何か?

そもそも、どのような人々を移民と認定するのでしょうか。

国際連合(UN)では明確な定義はないものの、定住国を変えた人々が移民とみなされるという見解で一致しているようです。

また、滞在期間によって短期移民と長期移民と分けて考えられるということも留意しておく必要があるでしょう。

短期移民は3ヶ月から12ヶ月の短期滞在の外国人を指します。そして、12ヶ月以上滞在する移民を長期移民としてみなされるのが一般的です。

おそらく今後問題となるのは後者でしょう。

 

日本における移民政策とは?

日本は近年、移民を積極的に受け入れる政策を展開しています。

その目的は何といっても、少子高齢化社会による人手不足分野の職種の人員の確保です。

そのために、政府はかつてEPA締結国から外国人介護士の受入政策を行いました。

しかし、政府の求める外国人介護士の日本語の理解力や知識のレベルが高すぎて、多くが定着しないまま母国に帰されました。

うまく介護現場に就職できた外国人介護士も日本の過酷な労働条件や文化の違いといったものに耐え切れず、母国に帰っていきました。

日本が外国人労働者に求めているものは、高度熟練労働者や専門技術者といった人々であり、単純労働の外国人を受け入れるということは一切考えていないのが現状です。

しかし、人手不足の分野には単純労働分野も含まれており、少子高齢化が進む今後のことを考えれば受け入れざるを得なくなる未来は容易に想像できるでしょう。

日本政府は技術の進歩で単純労働分野の人手不足の解消を目指していますが、まだ開発されていない未知の技術に対する期待は現状考えない方がいいでしょう。

≪参考≫ヨーロッパ(EU)が移民・難民問題で治安悪化?現状を分かりやすく

 

日本の移民受入に関する制度【デメリット】

しかし、日本には移民を受け入れるための制度はほとんど整っていません。

確かに移民の受入れ審査に関しては世界でも厳しいと評判の日本ですが、一度受け入れてしまった移民に対しては野放し状態ともいえる現実があります。

そもそも、取り締まり自体を厳格に行っていないのです。

法務省が公表した不法滞在移民の数は約6万5000人(2016年)ですが、これはあくまで法務省が認識している人数です。

現実はこの何倍という数の不法滞在者が日本にいるとみて間違いないでしょう。

不法滞在の外国人が日本人のもとで就労していた場合、雇っていた事業主にも罰則が科せられることになるので、外国人を雇用する側もきちんと確認を怠らないようにする必要があります。

しかしながら、そうした外国人労働者を雇う側への教育といった制度なども日本は未だに整っていませんから、今後外国人労働者が増えるにあたり、このような罰則を受ける日本人事業主も増えることが予測されます。

一刻も早く外国人労働者を雇う側へのノウハウを周知する取組みをしなければ、今後トラブルの増加は避けられないでしょう。

また、日本には移民省といった移民に特化した専門の省は存在しません。なにか問題が起こった時に様々な省にまたがって対応しなければならないのが現状です。

今後移民が増えるのが確実なのですから、そうした専門の省の設立が必要になると私は考えています。

 

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移民とのかかわりは「統合」か「共生」か?

日本における移民の受入れ状況はどのようになっているのでしょうか。

ほとんどの移民が現在日本に滞在している同胞を頼って来日し、出身国の同じもの同士でのコミュニティを築き上げています。

日本の地域コミュニティに混ざるための取組みは、自治体レベルで推進されてはいるものの、完全に一体化するということは現状ほとんど見られません。

そもそも、私は日本人の多くが外国人に対して「郷に入っては郷に従え」という考え方を求めているように感じています。

それはいわば自分たちのコミュニティに移民を「統合」するという考え方でしょう。

もちろん、そのような考え方のもとで政策を行っている国も数多く存在します。

しかし、もう一つ「共生」という考え方も存在するということを知っていてほしいのです。

「共存」は互いの文化を理解したうえで、移民が自国の生活により近い生活を送れるような環境をつくっていくということです。

例えば、イスラム教徒は信仰の関係上食べられない食事が数多く存在します。

子どもが小学校に通っていると、そうした食べられない食材が数多く使われた食事が出てくることがあります。

そうした宗教上の配慮を国や地域が行い、どうしても難しい部分は各自でどうにかする。仕事においても宗教行事による欠勤を認めるといった配慮をこちら側がしていくといった相互理解を推進していくやり方です。

 

しかし、「共生」は日本独自の文化を脅かす危険もはらんでいることは事実です。

どちらも一長一短であり、どちらが良いやり方かといわれると現状断言できません。

 

まとめ

移民の存在は労働力不足を補い、経済を活性化させるという良い面も存在していることは確かです。

移民によって経済が活性化することで、社会保障支出を補うこともできるようになるでしょう。それらは少子高齢化が解決しない限り、移民を受け入れる方法でしか解決できません。

しかし、移民は多くの国で治安の悪化を招いたり、地域の不和の原因になっているという見方もあります。日本の治安がいい理由として「黒人がいないから」という外国人の意見を見かけることも少なくありません。

日本政府は今後増え続ける移民に対してどのような政策をとっていくのでしょうか。

現状増えすぎた移民に対しての政策も追いついていない中、早急な法整備が求められています。

人々が安心して暮らすためには日本人の外国人への理解を深めることと政府による政策及び法整備がカギを握っていると私は考えています。