日本プロ野球史上においてもっとも大きな存在感を示した人物である、長嶋茂雄さん。

こう言うと恐らく若い世代の方は異論がある人も多いかも知れませんが、長嶋さんを現役時代から知っているプロ野球ファンの方にとっては、逆に他には考えられないというでしょう。

では、なぜ長嶋茂雄という人物はそれほどまでに崇められるのでしょうか。

日本球界屈指のスーパースターであり、ミスタープロ野球と呼ばれているのでしょうか。

ここでは、長嶋茂雄さんの何が凄いかを知っていただくために、実績に過去の天然エピソードや名言、病気のエピソード等を挙げていきます。

 

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長嶋茂雄の実績

長嶋茂雄さんは、もちろん球史に名を遺すような圧倒的な実績の持ち主です。

打者としてその功績をもっとも評価される項目である通算のホームラン数・打率・安打数はそれぞれ以下の通りです。

通算本塁打数 444本(歴代14位)

通算打率 0.305(歴代12位)

通算安打数 2471(歴代9位)

※順位は現役選手を除く

 

明らかに、スーパースターに相応しい成績でしょう。

しかしながら、彼はプロ野球史上において最高のスターとされています。

これらの成績はすべて歴代で10位近辺の数字であり、素晴らしくはあってもどれも突出はしていないにも関わらずです。

たとえば、王貞治さんの通算ホームラン数は868本です。

長嶋さんの倍近くの本塁打を放ったわけです。

 

イチロー選手であれば、通算打率は

日本で通算.353

メジャーで通算.312。

メジャーでの通算打率であっても、長嶋さんの日本での通算打率を上回っています。

 

張本勲さんであれば、通算安打数は3085本であり、長嶋さんよりも600本も上回っています。

ちなみにイチロー選手の通算安打数は4300本を超えていて桁外れです(笑)

 

投手で言えば、史上最高実績の投手である金田正一さんは通算400勝をしています。

 

これらの人物に共通して言えるのは、2位以下を大きく引き離す圧倒的な成績を収めているということです。

ですが、長嶋さんには彼らのように図抜けた項目がありません。

しかし、長嶋さんと通算で同じくらいと言える成績の選手は他にも少なくとも10人以上はいます。投手を合わせればもっと増えますね。

でありながら、プロ野球史上最高のスターは長嶋茂雄だと言われたら、若い世代からしたら納得いかないのも無理もないでしょう。

では、次に長嶋さんと他の選手の違う部分に迫ってみることにします。

 

長嶋茂雄という選手の特徴

とにかく派手なプレー

長嶋さんはとにかくプレーが派手な方でした。

空振りをするとき、ヘルメットが飛ぶほど大袈裟に空振りをしたり。

守備ではただ華麗なだけではなく、打球をわざと難しく捕ったり、派手な投げ方をして見るものを惹き付けていたのです。

 

とにかくチャンスに強い

長嶋さんは歴代でも屈指のクラッチヒッター(チャンスに強い打者)であると言われています。

ただし通算得点圏打率(ヒットを打ったら点になる場面での打率)は.314ですから、そこまで普段より打っていたというわけではありません。

長嶋さんの真骨頂はここで打つか打たないかが試合の勝負を決めるような、まさに本当の意味でのチャンスの場面です。

そういった場面でことごとく結果を出し、チームを勝利に導いてきたのです。

 

お祭り試合に強い

オールスター・日本シリーズ等、お祭り的な試合に強いのも長嶋さんの特徴です。

日本シリーズはお祭りとは言わないかも知れませんが、とにかく注目度が増せば増すほど、より大きな力を発揮するのです。

 

長嶋茂雄の天然エピソード

長嶋茂雄さんはグラウンド外でも大変な個性を備えている方です。

特にその天然さは目を見張るものがあり、これまた多くの人を魅了する理由となっています。

そのうちのいくつかをここで紹介しましょう。

 

【もの忘れ系】

・球場に自分の子供(長嶋一茂)を忘れていった

・試合前の打撃の調子に満足して試合のことを忘れ風呂に入っていた

・投手とのサインを忘れただけでなく、その投手と相談して決めたこと自体を忘れていた

・タクシーで来たのに、帰りに自分の車がないと勘違いして盗難届を提出する

・ビートたけしをゴルフに誘ったことを忘れていて、ゴルフ場で「たけちゃんも今日ゴルフ?」と声を掛けた

 

【まるでネタ系】

・セコムのCMに出演していたのに泥棒に入られる

・インフルエンザをインフレ

・プライバシーをデモクラシー

・バントのジェスチャーをしながら「代打川相」

・Theを「テヘ」

・「I live in Tokyo」を過去文にせよという問題に対し「I live in EDO」

・「うまいうどん屋があるから行こう」と他人を誘ったが天丼を注文

・アメリカで「こっちの子はみんな英語上手いねぇ」

 

ここまで来ると何かの病気かわざとじゃないかと思う人もいるかも知れませんが、私はわざとというよりも良い意味で特に深く考えていないからなのではないかと思っています。

 

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長嶋茂雄の迷言&名言

長嶋さんの迷言・名言は非常に多いですが、どれも本当に凄まじい破壊力です。

 

伝説的迷言

・「バッターの心構えは3つ。集中力と小さいことに気を配ることです」

・「開幕10試合を7勝4敗で行きたい」

・「今日初めて還暦を迎えまして」

・「始まりのスタートであります」

・「洋服着るの初めてか?どうだ洋服は緊張するか?」

・「ハワイの子供たちはみんな英語が上手いねえ」

・「やっぱり肉が一番好きだけど、最も魚が好きです」

・「昨日はシャワー食べてうどんを浴びたら12時になってしまいました」

・「春のスプリングキャンプへようこそ」

・「ボールがキューッとくるだろ、そしてググッとなったらウンッっと溜めてパッ」

・「この試合は一点でも多く取った方が勝ちでしょう」

・「野球の勝負は家に帰って風呂に入るまでわかりません」

・「勝負はネバーギブアップしてはいけない」

 

伝説的名言

なぜ逃げるのか。打たれて命を取られるのか。打たれたからって命を取られるわけないんだ。逃げるな。

 

デビュー開幕戦でも4連続三振。監督としても最初は最下位。あとはよくなるばかりだと思うしかなかった。

 

ウサギとカメならカメでいい。我慢する勇気が重要なんです。

 

挫折してもプライドは失わない、それは努力しているからだ。

 

スランプなんて気の迷い。ふだんやるべきことを精一杯やって、土台さえしっかりしていれば、スランプなんてありえない。ぼくはいつも、「オレは絶対打てる」という気持ちでボックスに立っていますよ。

 

雨を喜び、風を楽しみ。

 

口惜しかったさ、そりゃもう。でも、あれほどいい三振もなかった。あれほど生きた三振というのもなかった。

 

いつもずっと思っていることは、現実になっていきます。よいことを常に思っていましょう。

 

小さなボールと一本のバットには運命と人生がつまっている。

 

努力してますと練習を売り物にする選手は、プロフェッショナルといえない。

 

野球選手には人間関係で悩む暇などない。すべてはバットを振り、ボールを追いかけることで解決すべきなのだ。

 

絶対に負けちゃいけない日、私はベンチで異常になる。

 

魂を込めて打てば、野手の正面をついたゴロでもイレギュラーする。

 

少なくとも、セオリー通りの安全な道ばかり歩いていては、生きがいなんか生まれませんよ。ときには冒険も必要です。周囲の批判を恐れず、「俺はできるんだ」とやり抜く。それが男のロマンでしょう。

 

「あしたはきっと良いことがある」。その日、ベストを出しきって駄目だったとしても、僕はそう信じ、ただ夢中でバットを振ってきました。悔いはありません。

 

ショービジネスとしてね、見せる一つの商売からいきましてね、同じ負けでも全くいい負け方であったというイメージを持って、ファンに家路についてほしい。

 

スターというのはみんなの期待に応える存在。でもスーパースターの条件は、その期待を超えること。

 

長嶋茂雄が日本球界最高のスターである理由

歴史に名を刻んだ偉人達の残した名言というのは、実のところかなり共通する要素があります。

それは強引に一言にまとめると、チャレンジ精神(勇気)と本気で実現しようという気持ち(意志)です。

この勇気と意志という要素において、偉人達というのは明らかにそれ以外の人と一線を画していますが、長嶋さんの名言からも偉人エッセンスがはっきりと感じ取ることができます。

しかしながら、長嶋さんは通常の偉人達も持ち合わせていないものを持っています。

それは底なしの明るさです。

普通偉人というのは、徹底的に質を追求するので重い雰囲気になりがちなのですが、長嶋さんには重さが全くありません。

非常に軽やかに、楽しそうにプレーをしながらにして、そしてファンが望む結果を生み出すのです。

たとえばイチロー選手や王貞治さんは、確かに道の究め方は長嶋さんの上を行っていますが、やはり求道者が故の重さであったり、他を寄せ付けないような空気を感じさせるものもあります。

少なくとも、見てて笑顔になるタイプではないですよね。

しかし長嶋さんはそうではありません。

底なしの明るさがあるからこそ、苦しい練習をしているときでも、なかなか結果が出ないときでも、良い意味でどこか余裕を感じられます。

そして底なしの明るさが故に、ファンがどうしたら楽しんでもらえるかを真剣に考えてプレーすることができます。

私は長嶋さんの常軌を逸した天然具合も、本人のサービス精神から来ていると考えています。

これだけの名言と実績を残すことができるような方ですから、思考力は常人のそれを遥かに凌駕しているでしょう。

ですからもしその気になれば、長嶋さんは自分の天然の部分を直すことができるはずです。

しかし、長嶋さんの天然なところは完全に長嶋さんのスター性を助長する最高の長所となっています。なので直す必要はありませんよね。

 

病気にも決して屈しない底なしの精神力

長嶋茂雄さんは他に類を見ることのできない、正真正銘のスーパースターです。

それは脳梗塞を患った際のエピソードでも十分に垣間見ることができます。

2004年に脳梗塞で倒れた際、後遺症として右半身の麻痺と言語障害を残し、医者からは寝たきりになるかも知れないと言われるような状況だったそうです。

しかし長嶋さんは、そこから持前の不屈の精神力と意志の強さで常人では考えられないレベルのリハビリをこなし、今ではほとんど健康な人と変わらないくらいに歩いたり、話したりすることができています。

その賢明な姿を見て、同じ病院で入院していた患者さんたちも大変な勇気と生きる活力を与えられていたそうです。

どんな状況になっても、その中で自分のベストを尽くそうとするのはまさにスーパースターたる所以ですね。

しかも長嶋さんはそれを楽しそうにやるので、周囲の人をより強く惹きつけるのです。現にリハビリについても「これはリハビリではなく筋トレだ」と言っているそうです(笑)

恐らくむしろ脳梗塞になったことで、昔のように努力する理由ができたと心のどこかで嬉しく思っているのではないでしょうか。

長嶋さんとは、そういう方なのです。

 

最後に

長嶋茂雄という人物がなぜ日本プロ野球界における最高のスターなのか、そして彼を神様と崇め、心酔する有名人(有名どころだと徳光和夫やビートたけし、テリー伊藤等)の方々がなぜたくさんいるのか、についてかなり理解を深めて頂けたのではないでしょうか。

長嶋さんは素晴らしい実績の超一流のアスリートであると同時に、人を楽しませたり、感動させたり、元気にする資質を持ち合わせた最高のエンターテイナーなのです。

 

よく偉人達の言葉に対して

「かっこいいこと言っているけど、才能があったから結果が出ただけなのではないか」

という人がいますが、長嶋さんのこの脳梗塞後のエピソードから見ても、素晴らしい結果を残す人は、常人を遥かに凌駕する目標達成に対する意志と行動力を持っていることは明らかです。

もちろん普通の人は恐らく長嶋さんのような才能も意志や行動力もありませんが、それでも「どうせ自分にはできないだろう」「自分は頑張ってもこんなもんだろう」とブレーキを掛けて、自分の秘めた可能性を全て発揮し切れていない人がほとんどだと思います。

長嶋さんの見事なまでの生き様を学びや刺激として、自分の人生をより輝かせるために活かしたいですね。