現在スペインからカタルーニャが独立する動きを見せています。今まで何度か話題に上がることはあったものの、今回に関してはカタルーニャも譲ろうとはしません。

そもそもどうして今回はこんなに大事になってしまったのでしょうか。

本当にカタルーニャはスペインから独立してしまうのでしょうか。

もし本当にそうなったとしたらスペインはどうなるのでしょうか。

そんな疑問が尽きない問題ですね。

今回はカルターニャ独立問題について、独立したがっている理由とその影響を取り上げていきます。

 

 

カタルーニャとはどんなところ?

カタルーニャはスペイン国内にある17の自治州のうちの一つ。スペインの産業を大きく担ってきた歴史を持つ大都市です。サッカーで有名なバルセロナ市もこの州の中に存在します。

それだけに、もし独立が実現してしまえばスペインの経済は大きく混乱すること間違いないでしょう。ただでさえヨーロッパの問題児とされるPIIGSの一員であるスペインは是が非でもカタルーニャを手放したくないはずです。しかし、カルターニャはスペインから独立を望んでいます。それはいったいなぜでしょう?

 

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カタルーニャの歴史と独立の理由

もともと、カタルーニャはスペインに占領される以前は独自の文化、言語、歴史を持つ独立国でした。1714年に占領されてからはスペインの一地域としてやってきましたが、独自の文化や言語といったものは守られてきました。

しかし、それが変化したのは1930年代です。スペイン国内で内戦がおこり、結果として独裁政権であるフランコ政権が誕生します。その結果、カタルーニャでは言語を始めとして自由な行動が弾圧されるようになりました。

それが解放されるのは1975年のフランコ死去後です。スペインでは民主化が進み、カタルーニャにも自治権が戻りました。しかし、スペインからの完全な独立は許されず、カタルーニャ側は不満に感じていたのです。

近年ではカタルーニャに特別自治を与えようとする動きがあったものの、2010年に違憲判決が出て以来沈静化。そのことで独立の気運が高まっていきました。

2014年には英国のスコットランドの独立投票に触発され、独立のための投票を実施しました。しかし、これは中央政府が許可したものではなく、カタルーニャが独自におこなったものです。投票した有権者は50%に届かなかったものの、結果は80%が独立に賛成しました。この選挙を勝手に行ったことでカタルーニャの政治家たちは罰を受けています。それに関してもカタルーニャの人々の納得できるものではありませんでした。

 

今回の選挙が話題を呼んでいる理由

前回の投票の時も多少話題に上がったものの、ここまで大きくメディアで取り上げられるようなことはありませんでした。しかし、今回は連日のように大きく報道される事態になっています。それはいったいなぜでしょうか。

今回の投票は2015年に誕生した州政権の公約によるものですが、今回も中央政府は勿論許可しておらず、投票所を閉鎖するなどの強硬手段でなんとしても食い止めようとしています。ところが、政府側は憲法裁も違憲判決を出したものの、カタルーニャ側はこれを無視。なんとしてでも投票を決行する気でいるようです。

そしてなんと、投票結果に関係なく独立宣言をするという報道まで出始めました。

現在バルセロナ市では観光地を始めとして様々な施設が封鎖されるといった混乱が起きています。けが人も出ており、今回の選挙は内紛から内戦にまでつながりそうな勢いとなっています。

つまり、これまでとはカタルーニャの本気度と、スペイン政府との揉め具合が全く違うのです。

 

周辺国やサッカーチームへの影響は

もし、カタルーニャ独立が認められた場合はスペインの経済が大きく後退することは間違いないでしょう。その最大の理由は、名門サッカーチームであるバルセロナの存在です。

スペインのサッカーリーグであるリーガ・エスパニョーラからバルセロナが抜けたら、これは経済的に甚大な損失となるのは間違いありません。

一見すると、エスパニョーラからは脱退することになる可能性は高いと思われるかも知れません。スペインからしたら背信行為なわけですから、そんな相手を自国のリーグに参加させておくわけにはいかないからです。また、カタルーニャ側にとってもそこでスペインリーグに留まってしまったら独立が中途半端な形になるので、かなり抵抗を感じるでしょう。

その場合、他の国のリーグに所属するか、あるいは独自リーグを創設することになります。後者はさすがに無理があると思うので、あるとしたら前者でしょうか。

ただ一方で、前述のようにバルセロナを脱退させてしまうと、リーガ・エスパニョーラにとってその損失は計り知れません。

となると、スペイン側がプライドを捨てて歩み寄る可能性はあります。

というか、それをしなければただでさえかなりまずいスペインの経済はさらに底に落ちることは間違いありませんから、他のEU諸国も半ば強制的に催促すると思われます。

また、カタルーニャ側としても、万が一バルセロナが宙ぶらりんになったらクラブそのものの存続に関わってきますし、そもそもこちらに対してもEU諸国からの圧力が掛かるでしょう。スペインの負担はEUに圧し掛かってくるわけですから、周辺国としては溜まったものではありませんからね。

そしてEUの影響は世界へと派生しますから、これは世界的に見ても決して軽視できないレベルの問題であると言えるでしょう。

 

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まとめ

今までの選挙でも独立派が勝利してきたように、もしまともに選挙を行っていれば今回も独立派の勝利で終わったかもしれません。しかし、現在はスペインという国に属している以上、中央政府ときちんと話し合いが行われないうえで強硬手段をとれば、こうした事態を招くことをカタルーニャ側も予測できたはずです。それでも強硬策に出たのは、それだけ独立への想いの強さがあり、話し合いでは一向に埒が明かないと考えたからでしょう。

現在も中央政府とカタルーニャ側の意見は相反しており、どちらも歩み寄る姿勢を見せません。このまま中央政府の意見を無視した独立が本当に認められるのかが今後の争点となっていくと思われます。その場合、仲介役は欧州司法裁判所もしくは国連の機関に託されることになるでしょう。しかし、国連には法的拘束力はありませんし、欧州司法裁判所にしてもカタルーニャを一国とするとEU域外の国であり、EUの権限が及ぶかは疑問です。

ただ経済への影響を考えると、やはりEU諸国としては独立を何とか阻止しようという動きに出るだろうと思いますが。

 

このままカタルーニャはスペインから独立することが出来るのか。それとも中央政府がそれを阻止できるのか。わかりませんが、どちらの結果になってもカタルーニャが歩くのは茨の道になると私は考えています。

うまく独立国としてやっていきたいのであれば周辺国家をいかに自分たちの味方に引き入れるかにかかっているでしょう。そうでなければスペインの中央政府による弾圧で歴史を繰り返してしまうなんて最悪の自体も、もしかしたらあり得るかも知れません。