現在、日本は少子高齢化社会
となっていて問題視されています。

この問題が発生している
一つの大きな原因は
現在の出生率の低さです。

しかしながら、戦後は高かった出生率が
なぜこれほどまでに下がってしまったのか。

ここではその理由に迫ってみたいと思います。

 

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日本の出生率が大きく低下した理由

戦後における出生率の大幅な変化の理由は
もちろんいくつかあるのですが、
その根底にあると言えるのは
現在の日本社会に蔓延する空気です。

「結婚」に対して

「結婚しても幸せよりも苦労の方が多いと思うから」

「一人でいる方が楽だから」

さらに「子供を作る」
ことに対して、現在の多くの人は
自分たちの経済的な負担についてよく考えます。

将来に対しての不安もあるでしょう。

そして多くは
「一人で一杯一杯」
「二人いれば良い」
となり、5人も6人も作ることを考える人は少ないです。

これらのような考え方は、
戦後はあまり主流ではありませんでした。

何故なら、当時の人達は戦争で生き残ったからです。

戦争において生死を掛けた戦いをしていました。

当時は家族と会いたくても会えなかったり、
死に別れたりなんて当たり前だった時代です。

ようやくあり付けた安全、
そして一家団欒に対して大きな幸せを感じていた。

今では当たり前過ぎて
ほとんど意識されていないことです。

ですから生活水準がどうとかではなくて
家族みんなが一緒になって、
生きていくことができるだけで大きな喜びを感じたのです。

だからこそ、みんなあまり経済的にどうだとか
そういったのは気にしていなかった。

だからこそたとえ「ど」の付く
貧乏になろうとも子供を7人も8人も作ったし、
大貧乏な中でも逞しく子育てをしたのです。

現代の人が心配してるのは
子供をたくさん抱えた場合に
出費が増えて生活水準が下がることであって、
別に食べていけなくなるなんてことなんて
有り得ないですからね。

現在の日本は社会保障も大変充実していますし。

現代人は安全で豊かな生活を送ることが
当たり前の時代を生きてきたために、
贅沢になっていて、幸せに対して
鈍感になっているとも言えます。

皮肉な話ではありますが、これは人間心理に基く事実なのです。

 

ですから昔の人は単純であまりものを
深く考えていなかったからとか
そういう意見を持つ人もいますが、それは違います。

ただし、もちろんそういう
(何となく物事を楽観視する)
世間的空気があったのは確かだとは思います。

世間的な空気というのは、
私たちの価値観形成に
非常に大きな影響を与えますからね。

結婚や出産、育児を考える際に
将来の先行きに対しての
漠然とした不安感を感じる空気がある以上は、
正直出生率を高めることは
大変難しいことであると言わざるを得ません。

しかもその人生の経験から来る
根本的な価値観も完全に違うんですから、
これはそもそも同じ土俵で考えること自体が
全くのナンセンスなのです。

 

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韓国等アジアが世界で低い理由

では世界の出生率はどうかと言えば、
低いところは凄まじく低く、
高いところは凄まじく高いです。

本当に大きな開きがあります。

2013年のデータを参考にすると、

1位のニジェールが7.56
最下位のマカオが1.08

となっています。

参考サイト:http://ecodb.net/ranking/

何と7倍です。

日本は173位で1.43ですから
世界的に見ても相当低いのですが、
アジアの国々は概して出生率が低いです。

ワースト3は1位からマカオ、香港、韓国となっています。

なぜアジアの国々は
これほどまでに出生率が低いのでしょうか。

まずは社会・経済学的な視点から取り上げてみます。

こちらは人口学者のエマニュエル・トッドさんの考えです。

少子化は地域文化が発展し、識字率が上がる過程で必ず生じる。女性の教育水準が上がり、社会的に自立することで、産む子どもの数も自らの意思でコントロールするようになる。

子どもが生まれやすい国の共通点は女性の地位が高く、仕事と子育てを両立できる環境が整っていることだ。日本をはじめとするアジアの国々は両立が困難で、女性が仕事か子どもか選ばなければならない状況が続いている。

アジアなど新興国では少子化のスピードが、先進国より速くなる傾向がある。新興国は先進国の経験を生かして経済が速いペースで発展するから、社会の変化も急激になるのだろう。出典:http://globe.asahi.com/

結局キャリアウーマンが増えてきて、
「結婚しなくても自分でやっていけられる」
とか、「仕事が楽しいから続けたい」
という気持ちを抱くようになることが問題ということですね。

 

また世間的な空気、
つまり価値観的な視点からだと、
一つ影響が大きいと言われているのは結婚観です。

アジアの国々は結婚→出産
あるいは出産→結婚という流れが一般的で、
出産したけど結婚しないということがほとんどありません。

これがまた出生率を下げることに
繋がってしまっているようです。

子供ができた際に生じるその相手と
子供との絆を大切にするというのは
素晴らしい価値観だと思うのですが、
こだわり過ぎることによって
子孫が反映していかないのは本末転倒です。

ですから、これは理想論に
なってしまうかも知れませんが、
必要に応じて伝統的な慣性も変えられる
柔軟性が持てるようになれたら良いとは思いますね。

 

ただしもちろん、現在著しい
少子化傾向だからと言ってこれらの国々が
ただ滅亡に向かって突き進んでいくわけありません。

経済成長のプロセスの背景を考えた場合
途中で必ず反転するときが来ると思いますから
そういう意味ではそこまで問題視する必要はないとも言えます。

しかしそれもあまりに極端だと
経済のバランスも崩れるでしょうし、
その可能性も秘めているように感じますから
意識は持たなければならないとは思いますが。