度々、社会問題の一つとして
取り上げられる非正規雇用ですが、
その割合は年々増加傾向にあります。

実態の背景に迫ってみましょう。

 

非正規雇用者の割合が増加し続ける背景

非正規雇用者の割合が
どのように推移してきたかについては、
こちらの図がとても参考になります。

参考:正規雇用者と非正規雇用者の推移

 

著しく増加の一途を辿っていますね。

なぜこのような流れになったのか。

いくつかの主な原因を挙げていきたいと思います。

 

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派遣法の改正

非正規社員の代表的な存在である派遣労働者には

雇い易い

賃金が安い

首を切り易い

という雇用主にとって
大変都合の良い特徴があり、有効活用できれば
コストパフォーマンスの改善を図ることができます。

しかし派遣法の改正によって
派遣雇用の規制を緩めれば緩めるほど、
各企業はなかなか正社員を雇わないようになります。

 

バブル崩壊

バブル崩壊後、多く日本企業は生き残るために
アメリカ式の競争社会、利益至上主義の考え方を
取り入れなければならないと考え、
コストパフォーマンスの悪い
正規社員のリストラを実行し、
あまりコストの掛からない
非正規社員を雇うようになります。

また、バブル崩壊は日本固有のシステムである
年功序列・終身雇用制度の崩壊も招きましたが、
これもコストパフォーマンスを意識してのことです。

参考関連:学歴社会は日本だけでなくアメリカや韓国でも…高学歴が高収入になる理由

 

産業構造の変化

2000年代になると、
製造業が勢いを失う代わりに
サービス業が増えてきました。

サービス業はパートやアルバイト等の
非正規雇用者をフルに活用する業種なので、
サービス業の割合が増えれば
非正規社員も増えることになります。

 

グローバル化

グローバル化に伴い、
賃金の安い海外の労働者の雇用も年々増えています。

外国人労働者は日本国民よりも優遇されないので、
正社員ではなくパートや派遣等の非正規社員として
雇われる傾向が強いです。

 

人生観の変化

人生を生きていく上で、
正社員として仕事にどっぷり浸かり
重い責任を背負いながら生きるくらいなら
給料が安くても地位や名誉がなくても
気楽に生きたいという人が増えてきました。

これは結婚したいとか子供が欲しい等の
願望を持つ人が減っていることにも繋がりますが、
背景にはゆとり教育の影響もあるでしょう。

 

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特別な対策は必要ない?

確かに、現状では上で挙げたような
様々な事情により、非正規雇用者が
どんどん増えていっています。

しかしながらこの非正規雇用者が
増えていく流れは、本当に問題なのでしょうか。

これは冷静に考える必要があります。

非正規雇用が禁止されるようになると、
雇用者側にも被雇用者側にも
大きなマイナスがあります。

雇用者側では、融通を利かし辛くなるために
人件費がより多く掛かってしまったりして
日本経済の競争力が低下します。

被雇用者側であっても、より高い賃金よりも
自由な人生を求める人にとっては
派遣の規制を厳しくされるのは望ましくありません。

ただ、逆に正社員が減れば
サラリーマンの平均給料も減り、
日本経済全体のお金の回りも鈍くなるため
結局は経済成長の鈍化に繋がります。

格差の広がりにも繋がります。

 

ですから、日本社会で非正規雇用者が
年々増加しているこの現状に対して、
問題視する人としない人に分かれるのですが
最終的にはどこでバランスを取るかになってくるのです。

なので、たとえ非正規雇用者が
増え続けていたとしても、
それは果たしてバランスを崩した状態なのか、
そうでないのか、そこを見極めなければ
この流れが良いのか悪いのかは判断できないということですね。