ここでは消費税軽減税率について、
海外ではどうなっているのか。

導入に当たって必要となると
言われているインボイス方式とは何なのか。

国以上に政治家にとって有益な理由を取り上げていきます。

 

消費税軽減税率とヨーロッパ

消費税の軽減税率はヨーロッパ諸国において
うまく機能している制度です。

ですから前例に倣って日本にも
取り入れようという考えなのですが、
それらのヨーロッパ諸国と日本では
根本的な条件が異なっているのです。

その根本的な条件とは、消費税率のことです。

ヨーロッパ各国は、消費税率が軒並み高く、
それ以外の世界の国々とは一線を画すのです。

現在のところ、ヨーロッパの代表的な国の
標準税率は以下のようになっています。

ドイツ:19%

フランス:20%

イギリス:20%

オランダ:21%

ベルギー:21%

イタリア:21%

スペイン21%

スウェーデン:25%

デンマーク:25%

ハンガリー:27%

このようにほとんどの国々で20%を越えていて、
だいたい20~25%の間となっています。

しかし消費税というのは、高ければ高いほど
低所得者にとって負担がどんどん大きくなります。

生活に余裕がない人ほど生活に
より大きな影響が出てくるのは必然ですよね。

そのため、消費税は逆進課税
(税率が上がれば上がるほど不公平を助長するという意味)
であるとされています。

ですから、ただ高いだけでは
確実に世間で不満の声が続出してしまいます。

そこで軽減税率を適用することで、
その辺りの調整を上手く取っているのです。
(たとえばイギリスの食料品は消費税0%等)

一方で、日本では現在消費税が8%で、
上がってもせいぜい10%であるために
ヨーロッパ諸国の税率と大きく掛け離れています。

もちろん軽減税率を導入することで
低所得者の負担を軽くして
より全体の負担が公平に近づくのかも知れませんが、
逆にこの制度によって掛かる
コストであったり手間というのも当然あります。

果たして日本の消費税率で軽減税率を導入することは
本当に国、あるいは国民全体にとって利益となるのか。

それはかなり疑問視されているところなのです。

 

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インボイス方式とは

インボイスとは販売者が購入者に対して発行する書類です。

そういう意味では請求書や領収書と同じなのですが、
インボイスは商品の品名や数量、日付、金額等
の明記だけではなく、その商品に掛かる
全ての税額の明記も含まれます。

しかし軽減税率が適用されていなければ、
別に税額の明記はする必要がありません。

全ての商品が一律だからです。

ですからこれまで日本では
インボイス方式でなくても良かったのですが、
今後は、軽減税率を導入することで
複雑化する商品に掛かる税の管理をするために
必要なのではないか。

と議論されているのです。

 

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政治家にとって有益である理由

ただもちろん、その作業は個人や企業にとって
過去にはなかった負担として圧し掛かります。

そのため政府もインボイス方式導入には
慎重な姿勢を取っているのですが、
それでも今のところは導入の流れで進んでいます。

消費税の軽減税率について、麻生氏が
「めんどくさい」という問題発言をして
話題になりましたが、これは正直な感想でしょう。

導入するとしたら、考えなければならないことが多過ぎます。

絶対的反対の態度を取る人も少なくなく、
実際に大多数の経済学者は反対の立場です。

堀江貴文氏に至っては

「ゴミクズ」

とまで発言しています。

これはさすがに言い過ぎだとは思いますが、
彼が懸念しているのは、
軽減税率を推し進めたい人たちが
純粋に国益になると思っているからではなく、
自分たちにとっての利益を考えていることです。

軽減税率の対象品目とされるかされないかは、
その業界にとって大変重要な意味を持ってきます。

つまり、軽減税率を導入することによって、
各業界のトップが決定権を持っている政治家に対して
対象品目にしてもらえるように
あの手この手を使用する可能性が高いのです。

その際、ワイロ的なやり取りのような
直接的な悪事ではなくとも
献金であったり天下りであったり、
政治家たちにとっては様々な恩恵に授かれます。

立場がより優位になる、と言ったら良いでしょうか。

ですから、政治家サイドからしてみたら
軽減税率を導入すれば間違いなく大きなメリットがあるのです。

そうなると、多少社会が混乱する可能性があったり、
あるいは不具合が生じる可能性があっても
消費税軽減税率を導入したいという
気持ちになるのはわからなくはありません。

しかもこの制度は一見市民にとって
救いに見えるので、非常に支持を獲得し易いのです。

こうなってくると、個人的な利益が優先してしまって
後にどうなるかあまり考えていない政治家たちが
多数で出てきそうな気が個人的にもします。

軽減税率に限ったことではないですが、
やはり政治家の耳障りの良い言葉を
決して鵜呑みにするのではなく、
情報をたくさんインプットして自分の頭で
しっかりと考えなければいけませんね。