私たちの国が秩序を保つためには
ある種の合理的なシステムが必要ですが、
そのシステムのもっとも大きな枠組みとして
資本主義と社会主義(共産主義)が挙げられます。
(ただしこれらは「主義」ですから
実際に実現しているかどうかではなく
目指している理想、という意味になりますが)

しかしながら、過去から現在まで
人類の歴史の中でどれもそれぞれ存在してきて、
何が一番合理的であるかの結論に関しては
未だ出されることはありません。

恐らく今後も出されることはないでしょう。

何故ならそれぞれにメリット・デメリットがあるからです。

 

各システムの特徴と根本的な理念

まずそれぞれシステムの大きな特徴・
根本的な理念は、一言で表すことができます。

資本主義は自由

社会主義(共産主義)は平等

です。

ここでは社会主義(共産主義)
のメリット・デメリット
についてを取り上げていきたいと思います。

※資本主義のメリット・デメリットは
前回の記事をご参照ください。

資本主義反対派の掲げる理由は格差?限界&崩壊説

 

Sponsored Link

 

社会主義と共産主義の関係性

その前にまず、社会主義と共産主義は
どのような関係にあるのかについてを取り上げましょう。

冒頭からセットにしていますが、
実際この二つは近い理念です。

前述のように、
どちらも国民全ての平等を
根本的な理念としているからです。

しかしはっきりと
分類されているくらいですから、
当然ながら明らかな違いがあります。

社会主義は市場を国(政府)が
コントロールすることを良しとするのに対し、
共産主義は良しとはしません。

というより正確には、共産主義の理想の下では
政府が何も手を出す必要がない状態なのです。

これはどういうことかと言うと、
「平等が勝手に実現している状態」
です。

政府が手を出して国民の平等が実現していたら、
それはもう共産主義が実現していることにはなりません。

つまり、共産主義は社会主義が
さらに極端化した理念であり、
限りなく理想の社会・経済システムなのです。

ですから、社会主義と共産主義は
ベクトルの方向としては同じである、と言えます。

平等っぽいイメージ画像

 

社会主義(共産主義)のメリット

社会主義と共産主義のメリットは、
もうすでに挙げているのですが
とにかく平等な社会の実現です。

結局、人間の悩みや苦しみの
最大の原因の一つとなっているのは、
自分が人と比べて
「損をしている」
「価値がないのではないか」
といった気持ちです。

要は劣等感ですね。

もし自分と人の扱いが平等になれば、
そのようなネガティブな感情を抱いたりしなくなるだろう。

そうすれば、みんな仲良くなって争いもなくなるはずだ。

そういった考え方が、社会主義・共産主義です。

これは恐らく誰でも経験のある感情だと思うので
身近でわかり易い例ではないでしょうか。

 

Sponsored Link

 

社会主義(共産主義)のデメリット

「みんなが平等になれば、
みんなのストレスがなくなって
争いもなくなり、素晴らしい社会になるはずだ。」

一見、全く間違っていないようにも思えます。

しかしながら、同時に人間というのは別の性質を持っています。

それは

「より快適な生活を送りたい」

「より上の立場になりたい」

等です。

つまり、純粋な欲ですね。

ですから、社会主義や
共産主義のような社会では
自分の欲を満たす手段がないので、
逆に不満が溜まってしまう面もあるのです。
(もちろん中には欲があまりない人もいますが)

 

そしてもう一つ、とても大きな問題があります。

それは働き振りとその見返りが全く釣り合わなくなるということです。

社会主義や共産主義のような社会では
どんなに一生懸命働いても、
サボってばかりいても得られるものは
全く同じになります。

全て徴収されて、平等に分配されるのです。

すると前述したように、
人間はもともとどうしても人と比較してしまう
性質がありますから、一生懸命やってるのに
サボっている人と利益が同じだと
「自分が損をしている」
と感じ、それによって大変嫌な思いをします。

すると
「それなら自分も同じようにサボろう」
という考えに至ってしまいます。

これではそもそも平等なのか
そうでないのかすらわかりませんよね。

このような状態では、
生産性が上がるはずがないのは明白です。

事実、これまで歴史上で
社会主義・共産主義を理念として掲げていた
政府はいくつかありましたが、全て上手く行きませんでした。

それどころか、何故かそのうちのほとんどは独裁政権となっています。

独裁政権になるか

 

社会主義(共産主義)と資本主義

一方で資本主義は真逆のベクトルになります。

つまり、資本主義の場合は
その人の生み出した価値がそのまま
本人の持ち分として認められるのです。

そういう意味では、むしろ
「資本主義の方が平等じゃないか」
と思えてもきますよね。

ちなみに、先ほど人間に欲があることを
社会主義・共産主義が実現しない
理由として挙げましたが、
欲というのも努力の原動力であり、
必ずしも悪いものではありません。

欲があるからこそ
苦しいことも乗り越えようと頑張れるし、
より結果も伴ってくるのです。

 

結論

結局、社会主義・共産主義は問題だらけである一方
資本主義は人間の性質的にも非常に理に適っていて
社会・経済システムとしてこちらの方が優れているのではないか。

と思えてくるかも知れません。

しかし、資本主義のような競争心むき出しの
社会だからこそ争いが起こってしまうとも言えます。

実際、共産主義の理想が実現したら
争いそのものも起きなくなるでしょう。

例えば、戦後日本が歴史上類を見ないような
急激な経済成長と秩序の維持が実現できたのは
横並び社会であったことも大きな要因であると言われています。

日本は表向きは完全に資本主義社会なのですが
アメリカのようなゴリゴリの資本主義ではなく、性質が違うのです。

つまり、自由競争の原理が働く
資本主義社会でありながらにして、
平等意識が共存している横並び社会、
要するに社会主義的な要素も含んでいたのです。

その代表とされるのは、年功序列や終身雇用等の制度ですね。

ただバブル崩壊以降は
これらの制度を維持することが難しくなったために
バランスが崩れてしまった感はあるのですが。

いずれにせよ、社会主義・共産主義的な理念と
資本主義的な理念を上手く融合させることができたとき、
理想の社会・経済システムが出来上がる。

結局はそういうことなのです。