最近、原油安が著しいですね。

価格が急激に下がっています。

この背景にははっきりとした理由があるのですが、
その原因と、原油安との円高や株安の関係性
について取り上げてみたいと思います。

 

原油安はなぜ恩恵にならないのか

それにしても驚くべき原油安トレンドですね。

原油価格は2014年の中頃まで
1バレル100ドルの辺りを推移していたのが、
現在は1バレル30ドル周辺と、
なんと三分の一程度まで暴落しています。

しかしながら、ここで一つの大きな疑問が湧いてきます。

原油安になれば、原油を使用する
製品の製造コストも下がるはず。

製造コストが下がれば、
その分利益を出し易くなるはず。

そのままの価格であれば利益が大きくなるし、
たとえ価格を下げても以前と同じ利益が出せたりする。

であれば、経済全体は潤って
業績が大幅に改善される企業が多く出てくるはず。

が、実際はそれほど伸びていません。

それどころか日本経済全体で見れば
むしろ平均株価が大きく下落しています。

なぜ原油安で株安になってしまうのでしょうか。

 

Sponsored Link

 

原油安と株安と円高との関係

なぜ原油安なのに株安・円高になってしまっているのか
を理解するためには、世界全体の経済と繋げて考える必要があります。

全てが連動しており、
その流れは以下のようになります。

 

原油安の原因

中国経済の減退

中国経済が一時の勢いを明らかに失ったために
石油のニーズが激減し、結果として石油がダブつくことになった。

石油がダブつけば、需要と供給の関係が
需要<供給となるので、当然価格が下がる。

 

アメリカとのチキンレース

アメリカのシェールオイルとの、
泥沼の価格競争が繰り広げられることになった。

どちらかが引けば、その時点で
引いた方は石油が売れなくなるので
お互いが意地になって下げ続けている状態。

 

株安の原因

オイルマネーの撤退

原油安によって原油関連企業の投資家たちが
資金的に余裕がなくなり、所有株を売り始めた。

その所有株には世界中の企業が含まれている。

彼らはとてつもない大金を動かしているので、
世界経済に与える影響は甚大。

 

中国経済の減退と不安感

中国経済の落ち込みは
株安にも大変大きな影響を及ぼしています。

しかしながら、中国政府は
正しい情報を公開しないので
実態経済がどうなっているのかわからない。

実体がわからないということで
世界の投資家たちは中国経済に対して
大変な不信感と不安感を持つ。

その結果、中国株がさらに売られていくため
中国企業の業績はさらに悪くなる。

すると中国の資産家たちも
資金的に余裕がなくなってきて
持株を大量に売るようになる。

 

Sponsored Link

 

円高の原因

安心できる通貨に交換

世界同時株安になれば、
世界全体が混乱し、
世界各国の景気が悪くなる。

そうなると投資家たちは
安心できる通貨を求める。

安心できる通貨に交換しないと
通貨価値がどんどん下がって大損してしまう。

世界でもっとも信用されている通貨は日本円である。

ですから、こういうとき
日本円は大人気になるのです。

大人気になって通貨が
買われれば買われるほど、
円の価値がさらにどんどん
高くなるために円高となってしまうのです。

 

参考関連:中国人による爆買いの経済効果等メリットとデメリット

 

グローバル経済が故?

そういうわけで、先日
日銀はマイナス金利政策によって
円安への圧力を仕掛けたにも関わらず
逆に円高の方にいってしまったのです。

ですから本来なら
株も上がるはずだったのに、
上がりませんでしたね。

世界的な恐慌の流れがそれだけ
激しいということです。

日本経済が原油安で
あまり恩恵を受けないのは、
こういう背景があるのです。

ただしもちろん、狭い視点で見れば
一般家庭であったり製造業や農業、
交通などの幅広い産業にとって
一応は良い風になっているところもあります。

しかしながら経済が全体として
繋がっている以上、こういった業種であっても
世界的不況のしわ寄せが来ることは間違いなく、
トータルとしては結局マイナスになってしまうのです。

これはまさに、グローバル経済の
デメリットが表に出た形となっているわけですね。