2000年代になってから急激に存在感を高めて
一時期は世の中に革命をもたらすと言われていた
シェールガスやシェールオイルですが、
近年かなり雲行きが怪しくなっています。

一体これらのエネルギー源は現在、
どのような問題に直面しているのでしょうか。

 

シェール資源の躍進

シェール層と呼ばれる地層に存在する
シェールガスやシェールオイルは、
昔からそこにあることは知られていました。

シェールガスとは
シェール層のガス(天然ガス)のことで、
シェールオイルとは
シェール層の油(石油)のことです。

しかしながら、その採掘の難しさから
確かな収益を上げることはできませんでした。

が、それから2000年代に入り
アメリカの技術力が高まると、
安いコストで採掘することが可能になりました。

しかもアメリカの地層は
これらシェール資源の推定埋蔵量が
世界で二番目に多いので、
アメリカにとっては願ってもないことです。

量も「1000年は持つ」
と言われるほど豊富にあります。

 

この事実がエネルギー業界に対して
与えたインパクトは相当なものです。

何故なら、それまでは
主な石油産出国である中東が
独占していた市場にアメリカが
真っ向から戦えるようになったからです。

よって、中東各国は
それまで貪っていた暴利を
得られなくなってしまいました。

逆にアメリカはシェール資源が
多大な可能性を生み出したことで
これを「シェール革命」として、
国の将来に非常に明るい話題を提供しました。

参考関連:石油の埋蔵量予測は大嘘で枯渇はあり得ない?では嘘を付く理由は何なのか

 

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シェールビジネスの見込み

「シェール革命」
と大々的に打ち出されたら、
やはり期待してしまいますよね。

実際、市場では
シェール資源を扱う企業に対して
過剰な期待をするようになりました。

株も売れるし金融機関も融資してくれます。

ある種のバブルを引き起こしたのです。

 

ところが、ことはそんなにうまくいきませんでした。

大きな問題が浮上してきたのです。

まず、シェールガスのガス井を作るのに
非常にコストが掛かります。

ガス井とはシェール資源を発生させる
ために必要な場・仕組みのようなものなのですが、
シェール資源が大変深いところにあるために
これを作る時点で大きな費用的な負担を要するのです。

いくら科学技術が進歩して
発掘が楽になったといっても
それはあくまで過去と比較してであり、
大変なことには変わりないのです。

そしてガス井はだいたい二年くらいしかもたず、
二年くらい経つと生産量が激減する傾向にあるのです。

つまり、

思っていたよりも初期投資が必要だし、
意外と効率が良いわけではない

ということです。

ですから「シェール革命」
として盛り上がった割には
意外とそれほどでもなかったりして、
若干拍子抜けなところがあったのです。

 

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希望どころか企業倒産と経済破綻の引き金に?

それでも中東の石油や天然ガス産出国は
それまでかなり利益を上乗せしていたので、
彼らと戦うだけの生産能率はありました。

ですから結局はお互いに
利益を分け合っていたのですが、
状況は突然変わりました。

世界景気の後退もあって、
一気にエネルギー資源のニーズが
減ってしまったのです。

そのため供給過剰で価格競争になり、
特に原油とシェールオイルの価格は
凄まじい勢いで低下していきました。

当然ながらこうなると、
シェール関連企業が傾いてきます。

倒産する企業も出てきます。

シェール関連企業がそうなると、
それらに投資した多くの銀行や
証券会社も損害を被るということになります。

実のところ、シェール関連企業の債券は
人気を集めていたために、
債券の価値が暴落したことで
多くの人が多大な損害を被っているのです。

これはある種、サブプライムローンと
同じような現象が起こっていると言われています。

サブプライムローンは
リーマンショックの引き金となりました。

ですから、シェール資源の華々しい登場による
「シェール革命」も、リーマンショックのような
世界規模の経済破綻、大混乱の
引き金となるのではないか。

という懸念がされているのです。