恋愛において病的なまでに執着し、彼氏の一挙手一投足に過敏に反応する。

「私を理解してくれるのはあなただけ」と持ち上げておきながら、「わかってくれないのは愛していないからだ」と急にこき下ろす。

感情の制御がきかず衝動的で極端な行動をとる。

特に女性に多いこうした性格傾向をインターネットの世界では「メンヘラ」と呼んでいます。

精神面の健康(=メンタルヘルス)が弱く、他者の言動に影響を受けて心が揺れ動きやすいことからそう呼ばれるようになりました。彼女たちの多くは「境界性パーソナリティー障害」という精神障害を持っているケースも多いと考えられています。

ここでは、境界性パーソナリティー障害とは何か、その特徴と症状、そして付き合い方について取り上げていきます。

 

「境界性パーソナリティー障害」とは

パーソナリティーとは個性のことですから、それそのものは誰でも持っています。同じ映画を見ても人によって違う感想が出てくるように、性格の偏りは誰にでもあります。その性格の偏りが大きいために、社会生活に支障が出るようになってしまった状態を「パーソナリティー障害」と呼びます。

平たく言えば、「考え方や感じ方の癖が強すぎてうまく人と関われない」という人たちなのです。別の呼び方では「人格障害」とも言いますが、こちらの方がイメージがし易いかも知れませんね。

 

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「障害」と付くと、どうも特殊な性質を持った人に思えてしまうかもしれませんが、私たちは少なからずこうした傾向を持っています。

例えば恋人が出来ると友達付き合いが薄くなる人がいます。

これも恋人を大切に想う気持ちや恋人との関係を重視する気持ちが考え方や感じ方に偏りをもたらし、結果として友人との価値観が合わなくなることが大きな原因として挙げられます。

病的なレベルではなくても、人はパーソナリティー障害的な側面を持っています。

 

 

境界性とは

では「境界性」とは何か。

境界性とは、「神経症」(イライラ感)と「統合失調症」(偏った現実の見方をしてしまう)という2つの心の症状の中間にあることを指しています。ですから、境界性パーソナリティー障害というのは、神経症や総合失調症の影響からパーソナリティーに障害が生じている状態のことなのです。

しかしそうなるとある程度先天的な要素も入って来るかもしれないので、一概にただの自己中心的な困った人物として片付けるのは酷な側面もある気は個人的にするのですが。

 

境界性パーソナリティー障害の特徴や症状

境界性パーソナリティー障害の症状は、もっとも大きな括りでは前述のような

イライラ感と現実に対しての極端な主観を伴っている状態

になります。

それがどこからきているかというと、不安感です。

そしてその不安感は、幼少期の親の養育態度に起因するという説があります。

親のそばで自分の安全を確保し安心感を得なければならない年齢の時に、親が十分に子どもを受容しなかった場合、子どもの中には「親に見捨てられてしまう」という恐怖が残り、それが大人になっても強く作用します。

子どもにとって親に見捨てられるのは死活問題。

大人になっても他者に見捨てられることを、子どもが親に見捨てられるのと同じような感覚でとらえてしまうため、他人には共感しえないような不安を抱えています。

そして見捨てられないように相手の気を引くことにエネルギーを注ぎます。それは、相手をべた褒めして持ち上げることであったり、逆に相手の無理解を激しく責め立てる事でもあったりします。時には自分の体を傷つけてまで、相手をつなぎとめようとします。

俗っぽく言えば「かまってちゃん」ということになるでしょう。しかし、そうしたポップな言葉にまとめられないような根深い不安や恐怖が、諸々の問題行動の根源にあるのです。

 

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境界性パーソナリティー障害の人との付き合い方

境界性パーソナリティー障害の人と日常的に接しなければならない人にとっては、生活を振り回されて負担に感じることも多いでしょう。

その時に有効なのが、「どこまでしてあげられて、どこからは付き合えない」という線引きを明確にすることです。
例えば、見捨てられ不安から夜中でも連絡しようとしてくるのであれば、「夜の10時までは電話できる。
でもそれ以降は、自分の生活があるから控えて欲しい」ということを明確に、書面にして約束します。

「約束を守る」ということを通して、2人の関係を安定させる効果があります。

感情的にならずに話を聞く場を設けること、衝動的な行動や危険な行為をしなくても見捨てられないから大丈夫だ、ということを根気よく伝え続けることも重要です。

注意すべきことは、やはり絶対にその口にしたことを守り通すことです。もし守らなければ、相手は間違いなくさらに我が儘になりますし、同障害を克服するきっかけを逸することにもなり兼ねません。

 

境界性パーソナリティー障害が悪いとは限らない

またここまで記述してきた内容だと境界性パーソナリティー障害の人はただの問題児、という印象を受けた方もいるかも知れませんが、実のところ一概にそうとは言えません。何でもそうですが、良い面と悪い面がありますからね。

たとえば天才というのは得てして何らかの特殊な癖であったり障害を抱えていたりするものですが、それは境界性パーソナリティー障害も例外ではありません。現に太宰治、ダイアナ妃、マリリン・モンロー、ウィノナ・ライダー等、歴史に名を残している同障害と診断されていた偉人は多数います。

パーソナリティーに癖があって偏っているということは、その偏りの対象に注がれるエネルギーも大きくなるということですから、何かの偉業を達成する人に人格上の癖の強い人物が多いのは十分に理屈として通ります。

もちろんだからと言って周りの人に心配や迷惑を掛けるようなかまってちゃんではいけませんが、やはり同障害と診断されている人は自信を失い、自暴自棄になっているところがあります。ですから接する側としては、彼らに自信を持たし、希望を与えてあげることが非常に重要になってくるのです。