毛沢東は第二次世界大戦後の中国を牽引した人物です。

こう言えば聞こえは良いのですが、
実際その政治は狂気とも思えるような内容でした。

 

思想・新民主主義が病的

毛沢東は中国共産党の創立党員であり、
1954年には中華人民共和国の建国と同時に初代国家主席となりました。

中国という国の新しい歴史を作っていくリーダーとなったのです。

しかしながら、まさかこれが中国国民にとって、
地獄時代の序章となるとは思いもしなかったでしょう。

毛沢東はまず初めに、新民主主義を掲げました。

新民主主義とは毛沢東が独自の思想です。

簡単に言えば、元来の民主主義では
資本主義体制とされているのに対して、
新民主主義では共産主義体制となります。

ですから共産主義国家の実現を目指したのです。

しかし民主主義には違いないので、
しっかり国民の意見を反映することは思想の中に含まれています。

ところが、実際のところ毛沢東は
国民に自由な意見を全く許しませんでした。

それどころか、アドバイス的な意見ですら
反逆者として罪人扱いしていたのです。

この時点で、民主主義ではありませんから
すでに根本的かつ致命的な矛盾が存在してしまっていますね。

恐らく、もともと民主主義を実現する気は
なかったのではないでしょうか。

一応表面上は民主主義を掲げることによって、
国民の支持を得ようとしたのだろうと思います。

今の共産党の在り方を見たら、
そのくらいのしたたかさがあっても全然不思議ではありません。

異論を唱えれば
独房に閉じ込めて酷い仕打ちをしたり、
処刑したり等は当たり前にされますから、
そんなことをされると知れば誰も何も言わなくなりますよね。

結果的に、表面上は民主主義が
実現してるような形にはなるかも知れませんが。

 

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大躍進政策も病的

国のリニューアルに伴い、毛沢東は様々な政策を実施しました。

その代表的であり、同時に
史上最も劣悪であると言って良いのが大躍進政策です。

これはその言葉通り、
経済の大躍進を図るための政策です。

ですから一見素晴らしい
前向きな政策のように感じられるのですが、
実際はとんでもないものなのです。

大躍進政策は農業と工業において
当時世界で第二位であったイギリスを
1958~1961年までの期間内で、
つまりたったの三年で追い越すという計画でした。

もちろん当時の中国など先進国ですらなく、
当時の戦後日本と大差のない状況です。

この時点で、恐らく他国は半分鼻で笑っていたことでしょう。

しかし一番の問題は、そのための方法が滅茶苦茶過ぎることです。

毛沢東は農業と工業を一気に成長させるために
それぞれ米と鉄鋼に着目し、その生産方法を指示しました。

このとき毛沢東自身は全くの素人であったのにも拘わらず、
他の知識と経験のある人間のアドバイスを全く聞くことなく
自分の頭で勝手な理論を組み立てたのです。

当然ながら上手くいきません。

それどころか、本来作れていた米や鉄鋼すら全く作れなくなってしまいました。

しかもさらに具合の悪いことに、
毛沢東が独裁体制であったこと、
そして都合の悪い現実からは
徹底して目を背けたい人だったことから
問題提起をしたり現実に起こっている惨状を伝えたりする人がいませんでした。

そういった人はもれなく処罰されていたのです。

そして結果的に、大躍進政策は
2000万~5000万人近くの餓死者を出す
という悲劇を招いたのです。

この時点で、毛沢東という人物の恐ろしさと
人としての終わり具合がわかるのではないでしょうか。

 

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文化大革命の病的さとサイコパスのような性格

しかしながら、毛沢東の人として
終わっているエピソードはそれだけではありません。

その後当然ながら失脚するのですが、
それからしばらくしてから文化大革命を引き起こし、
国家を混乱に陥れて権力の座に返り咲きます。

この出来事でも1000万人以上の犠牲者が出たと言われています。

さらに、その際に中華人民共和国の
二代目国家主席となった劉少奇に対して、
自分を失脚させた張本人として
生き地獄を味わわせるという復讐をするのです。

自分自身の恐ろしいまでの罪が
失脚の最大の理由なのに、
なぜそこまで恨まれなければならないのか。

たとえどんなことをしても、悪いのは自分ではなく人。

という考えが根底にあるからだと思います。

この世の中で、これほど
自己中心的な考えの人が他にいるのでしょうか。

もはや狂気としか言いようがありません。

サイコパスの疑いも掛けられています。

ネット上でも、歴史上の三大クズとしてその名が挙げられています。
(他二人はスターリンとヒトラー)

 

しかし毛沢東は決してただのクズではない

しかしながら、この狂気的な人物が
大衆を先導し、国のリーダーとなり歴史を作ったというのもまた事実です。

そして一度あれだけの大失敗をして
失脚したのにも関わらず、後にまた権力に返り咲きます。

そういう意味では、毛沢東は史上まれにみる大天才とも言えます。

ただし、国の政府というのは
その国民の写し鏡と言われる方がいますが、
私はまさにその通りだと思います。

独裁者というのは、国民が作り上げた
制度の上に存在しているに過ぎないからです。

その独裁者を選んだのは?そもそも独裁的な制度になった理由は?

これらは一部の突出した人間の力だけでは決して実現せず、
それを支える人間がいて初めて成り立つのです。