EUが北朝鮮労働者を独自制裁へ!その詳しい制裁内容を具体的に解説

2017年10月16日、EUの外相理事会が開かれました。そこで話し合われた内容は今なお核・ミサイル開発で世界を挑発し続ける北朝鮮への独自制裁の内容でした。EUは北朝鮮が核実験を行った9月以降独自制裁を検討してきました。それの内容を今回具体的に話し合ったということになります。

また同年10月19日に行われたEU首脳会議でも更なる経済制裁の強化に向けた話し合いが行われ、検討に入ることが合意されました。これらの内容は国連が課した内容より厳しい内容ではあったものの、各国首脳は新たな制裁措置を支持しました。

EUが北朝鮮に対して独自制裁を行う背景には何があるのでしょうか。また、厳しいと言われる経済制裁の内容と効果をわかりやすく解説していきたいと思います。

 

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EUが独自制裁を決めた意味とは?

EUが今回独自制裁を行うということは、日米らに歩調を合わせることを表明したことを意味します。その理由の一つとして、北朝鮮が仲介役としてEUにその役割を求めておらず、米国と直接対話を求めているという点に挙げられます。

EUに加盟している国の中には北朝鮮と国交のある国は7か国。いずれも軍事的解決は求めていないという発言をしています。

また、フランスのマクロン大統領は聞く耳を持たない北朝鮮ではなく、米国のトランプ大統領を説得するという方針の発言をしています。

幼稚な挑発を繰り返すトランプ大統領を説得することで軍事衝突を回避したいのでしょう。そのために、味方であるということのアピールとして今回の制裁を決定したと私は考えています。

 

また、EUの設立された理由は過去の2回の大戦を繰り返さないことです。だからこそ平和を脅かす兵器の開発を続ける北朝鮮の行動はEUの設立方針に反するものであり、許容できる領域をはるかに凌駕する行動であることは間違いありません。

更に日・EUの戦略的パートナーシップ協定(SPA)がほぼ合意に至っているということも、理由として挙げられるでしょう。

 

いずれにせよ、今回の制裁決定でEUは日米側につくことを表明しました。それにより北朝鮮はまだ大きな反応を見せてはいません。

ですが何らかの形でこの制裁に関する答えが北朝鮮から帰ってくるであろうことは間違いないでしょう。それが最悪の形にならないことを私たちは祈るしかありません。

 

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EUが決めた北朝鮮への独自制裁内容とは?

真っ先に話し合われたのが石油・原油の禁輸措置でした。EUとしては原油・石油関連の輸出はしていないものの、北朝鮮と国交のある国にそれらの行動を促すための象徴的措置として制裁内容に加えたと思われます。

また、北朝鮮企業との取引も全面的に禁止され、域内労働者の送金額の上限も設定されました。送金額は現在の3分の1にあたる5千ユーロを上限としました。

EU域内のポーランドには推定500人ほど北朝鮮労働者がいるとみられていますが、全員ビザの更新は認められなくなります。

更に北朝鮮高官3人とEU企業6社が北朝鮮への渡航禁止及び資産凍結という制裁対象に加わりました。今回の制裁決定により企業では10社、個人は41人が制裁対象になったようです。

最終的には域内にいる北朝鮮労働者を締め出すという方針で合意がなされたようです。さらに、制裁対象に北朝鮮軍を追加。加えて、北朝鮮への投資を全面禁止という内容も加わりました。

19日の首脳会議では16日に話し合われたこの内容が支持され、さらにより一層厳しい制裁も辞さないという考えを表明するに至りました。EU首脳も北朝鮮の行動は容認できるものとではないとの声明を出しており、EUの北朝鮮への対応の本気度も伺えます。

 

経済制裁の効果は

今回のEUの独自制裁で北朝鮮に大きな影響があるかどうかですが、個人的にはその影響は小さいとみています。

EU自体は北朝鮮と国交があったわけではなく、EU域内に交流のあった国がいくつかある程度です。それらがEUの方針に従い、制裁を行ったとしても北朝鮮へ大きく打撃が与えられるかといわれると微妙なところでしょう。

北朝鮮が大きな反応をしないのも、大した問題はないという判断からなのではないでしょうか。やはり北朝鮮に打撃を与えるためには中国とロシアという2ヶ国の協力が必要不可欠です。

もしくは、北朝鮮労働者が数多く出稼ぎに出ているASEAN各国でもそれなりに打撃を与えることが出来るでしょう。

しかし、国連会議の時に問題になったように北朝鮮に制裁をすることで相手の感情を逆なでする事に繋がる可能性もあるということも、念頭に入れておくべきなのではないでしょうか。

 

まとめ

窮鼠猫を噛むと言いますが、人間追い込まれたときほど思いもよらぬ行動に出るものです。確かに北朝鮮の核・ミサイル開発は許しがたいものですが、その解決手段が各国による経済制裁を始めとした北朝鮮を更に窮地に追い込む内容であることに私は正直不安を感じています。

日本は北朝鮮の隣国です。その気にならずとも北朝鮮がミサイル撃ってくることもできます。

だからこそ、安易に経済制裁を行うのではなく、他の解決方法を模索していくことも視野に入れるべきなのではないでしょうか。

しかも今回はWWⅡの時と違い、日本側に味方は多いです。世界が一体となって北朝鮮という国と向き合っていくべきだと思います。

そのために鍵となるのはやはり米国、そして中国とロシアです。解決のためにはこれらの国が話し合いを重ねるべきであると私は考えています。