安倍政権のアベノミクス政策「新・三本の矢」
の内の一本である、最低賃金の引き上げ。

今回はこのテーマを取り上げてみたいと思います。

 

最低賃金引き上げの流れ―1000円はいつから

最低賃金を毎年3%ずつ引き上げて、
最終的には時給1000円に達するという方向で検討されています。

最低賃金には地域差があり、
平成27年10月時点で

最高は東京の907円

最低は鳥取県等の693円

(200円以上の差がありますが、主な理由は
人口の影響で経済の回り方が違うからです)
参考サイト:http://pc.saiteichingin.info/

全国平均は798円となっていますが、
最低賃金目標1000円以上というのは
全国平均のことを指しています。

 

毎年3%引き上げると、ざっくりと計算すると

800×0.03=24円(一年当たりの賃上げ額の目安)
200÷24=8.33年(200円賃上げまでに掛かる年数)

ですから、1000円に達するのは2023年頃になる計算になりますね。

ただし、平均賃金はどちらにしても毎年上がっています。

今から10年前の2005年には時給668円ですから、
その上がり幅は130円になります。

となると1年当たり13円

ですから、ここ十年のペースに
9円上乗せしたペースで
賃上げをしていくことになりますから、
果たしてその影響がどう出るのか、という話です。

 

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最低賃金引き上げの目的

最低賃金を上げるのには、
もちろんいくつかの目的があります。

貧富の差を減らす

最低賃金ですから、現在ぎりぎりの
生活を送っている人にとって最も意味があります。

現在最低賃金で雇われている、
厳しい経済事情の人達の生活が
改善されることが期待されています。

経済の活性化

貧困層が生活に少し余裕を持てるようになる。

学生もよりお金を稼ぐようになる。

これまであまりお金に余裕のなかった人達が
お金を持つようになり、使用されることで
経済が活性化するだろう、ということです。

参考関連:高齢化社会の影響・問題点と介護等、対策の現在

 

倒産やリストラの危険性

しかしながらその反対にデメリットも当然あります。

倒産

これまで最低賃金で人を雇って
ギリギリでやってきた企業やお店がさらに厳しくなります。

今までぎりぎりだったのに人件費を上げたら
倒産ということになってしまう可能性がありますよね。

そういう企業やお店は間違いなく出てくるでしょう。

リストラ

企業は業績が悪くなれば当然
リストラ等の策を取らざるを得なくなります。

最低賃金が上げられて新しい人が雇い難くなれば
今いる賃金の高い人は目を付けられ易くなります。

ですから、リストラに拍車が掛かるのは
恐らく避けられないでしょう。

 

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最低賃金引き上げで雰囲気が良くなるかが鍵

最低賃金引き上げには
当然こういった負の側面があるのですが、
それはもちろん政府にとっては織り込み済です。

日本経済を全体として見た上で
発展させようとしているので、
多少の犠牲はあってもしょうがない
と考えているのです。

それ自体は決して間違った
考え方ではないと思いますが、
では本当に日本経済は全体として発展するのか。

そこが最大のポイントになります。

 

例えばデメリットの方が強く出た場合、
日本全体は逆に雰囲気が悪くなって
活気がなくなってしまいます。

景気というのは人々の気分が
最も大きなウェイトを占めるので、
活気がなくなってしまったら
当然景気が悪くなり、日本経済は鈍ってしまいます。

日本の雰囲気が悪くなるのは、
倒産やリストラというのが
かなりのネガティブエネルギーを秘めているからです。

倒産やリストラというのは
言うまでもなく一人の人生を
悪い方に激変させる可能性がありますよね。

そういうニュースには
マスコミも食い付きますから、
そうなるとその悪いニュースは
一気に全国に広まります。

倒産が増加

リストラが増加

失業者が増加

こんな報道を繰り返されたら
雰囲気も悪くなるでしょう(笑)

実際はこれらが増加することが
必ずしも経済の減退に繋がるのではなく、
これらが増加することで
人々の気持ちがネガティブになり、
景気が悪化し、経済が減退するのです。

ですから、倒産やリストラというのは
少し件数が増えるだけでも
ものすごく社会的に悪影響を与える可能性があるのです。

私が懸念しているのは、その辺りです。

 

ただ逆に言えば、ギリギリの生活を
送っていた人達の経済状況が改善されれば
世間の空気もその分だけ良くなります。

それはポジティブエネルギーの元となります。

ですからもしポジティブな空気が
ネガティブな空気に勝つことができれば、
賃上げで景気がさらに良くなることも期待できるとは思います。

ですからそうなるように、政府としては
賃上げと同時にどういう動きをするのか。

そこがすごく重要になってくるだろうと思います。