ライチョウという鳥の名を何となく耳にしたことがある人は多いと思いますが、それが実際どのような鳥なのかはよくわからないのではないでしょうか。

もともと有名であったこの鳥の注目度が近年さらに高まっていますが、それは決してブームなどではなく、その個体数が減少し、絶滅が危惧されていることが理由です。

ここではこのライチョウについて、その特徴と現在の個体数状況、行われている対策などを取り上げていきたいと思います。

 

日本に生息するライチョウ

実はライチョウ(雷鳥)という呼び方はかなり広義で、一般的にライチョウというとキジ目ライチョウ科ライチョウ属に属する鳥を指します。

その中でさらに6属17種以上に分けられ、世界中に違う属・種のライチョウが存在しています。

日本に生息する種類はニホンライチョウエゾライチョウになります。

一般的にライチョウと言えばニホンライチョウのことで、絶滅が危惧されているのもこちらのライチョウになります。中部地方の高山帯(飛騨山脈、御嶽山、頸城山塊、赤石山脈)においてのみ生息し、国指定の特別天然記念物かつ岐阜・富山・長野の中部三県の県鳥とされています。

一方で、エゾライチョウは北海道にのみ生息しています。

ちなみに、エゾライチョウはライチョウ属には属しません。ですから、一応ライチョウという名が付いていますが、厳密にはライチョウではないという見方もあります。

 

ニホンライチョウの大きさは

全長:約30~45cm

翼開長:約50~70cm

体重:約400~600g

程度で、大体一般的なニワトリより少し小さめで、日本の都市でよく見掛けるハトと同じくらいのサイズになりますね。

 

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ニホンライチョウの主な特徴

ニホンライチョウの主な特徴としては、

・寒さに強く、暑さに弱い

・朝や夕方、雲に覆われた日やガスの発生している日等に活動が活発になる(大型猛禽類の天敵の襲撃を逃れるため、また暑さに弱いためと言われる)

・羽根は保護色で、季節によって背景に近い色に生え変わる

・雄は目の上が赤い(肉感と呼ばれる部分で、警戒や求愛、争いの時等に興奮すると大きく開く)

・カエルに似た鳴き声

等があります。

ニホンライチョウakai

 

空を飛ぶのはあまり得意ではない

また、ライチョウについて、飛べない鳥というイメージを抱いている方は多いようです。

実のところ、ライチョウは飛べない鳥ではないのですが、飛ぶことをあまり得意とはしていません。

身の回りにいるスズメやハト、カラス等の一般的な鳥というのは自由自在に空を飛び回っていますが、ライチョウは方向転換や急上昇等は基本できず、直線にしか飛べません

また一度に長時間の飛行も不可能なので大きな移動をすることもなく、だいたい同じ場所で生涯を過ごすことになります。

それでも飛べる時点で飛べないと比較したら移動範囲や危険回避率が全然違うので、特に山岳地帯で生息する彼らにとっては大変ありがたいでしょうね。

 

ニホンライチョウの個体数

ニホンライチョウの数は2005年の時点で3000羽程度であるとされています。

その時点でもかなり数が少ないのですが、その後さらに減らして現在は2000羽以下なのではないか、と言われています。

減少の原因としては、登山者が食料でありライチョウの隠れ家でもあるハイマツ帯を踏み荒らしていることで、食べ物が不足したり天敵に見つかり易くなったりしていること。

あるいは温暖化の影響で他の動物がライチョウの生息地に侵入してきて、餌の取り合いが激しくなったり天敵の増加がもたらされたことも一因であるとされています。

その結果、現在は国の絶滅危惧ⅠB 類(EN)に指定されています。

 

ちなみにこちらはニホンライチョウのドキュメンタリー動画になるので、興味のある方はどうぞ。

参考動画:ドキュメンタリー「ライチョウの未来~北アルプス・乗鞍岳」

 

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ニホンライチョウを守る取り組み

であれば、種を守る対策をしなければなりません。

そのための方法としては、

1:社会全体でライチョウとその環境を守り、これ以上壊さないことを呼び掛ける

こと。

2:ライチョウの生活環境をサポートし、成長までに命を落とし易い雛が生き残れる確率を高める

そして

3:ライチョウを人工的に増やす

の大きく三つが挙げられます。

1については、メディア等で取り上げられることでそれなりの効果が期待できます。

2についても、寒さをしのいだり、天敵から襲われないような場所を与える等の保護活動でかなり成功しているようです。

これでさらに3がしっかりできれば、かなり違ってくるのではないかと思いますね。

 

人工繁殖とその現状

人工繁殖の取り組みについても、2017年になって国も動き出し、活発に行われるようになりました。

しかしながら、生物の人工繁殖は種によってはかなり難しく、それはライチョウについても言えます。

 

現在繁殖活動をしているのは

富士サファリパーク(静岡県)

那須どうぶつ王国(栃木県)

いしかわ動物園(石川県)

大町山岳博物館(長野県)

上野動物園(東京都)

 

の5施設で、2017年7月11日時点で15羽の雛が孵化していますが、そのうちの4羽がすでに息絶えています。

それでもライチョウの人工繁殖の本格活動はまだ始まったばかりなので、今後徐々にうまくいくようになってくるのだろうと思います。

もちろん、それまでに犠牲になる雛をできる限り減らしていかないといけませんが・・・。

仮に人工繁殖のコツがわかれば、ライチョウの未来もかなり明るくなるだろうと思いますね。

活動に期待したいところです。