ミャンマーの少数民族ロヒンギャに対する酷い仕打ちが国際問題となっています。

ロヒンギャ問題とは、一言で言えばロヒンギャ族に対する差別行為のことです。

それも存在そのものを否定するかのような、激しい差別行為です。

今までも歴史の中で数々の差別行為や大虐殺が行われてきました。

しかし、今回の問題が大きく取り上げられる理由は、それが国家的・組織的な民族迫害だからです。

過去にも国家的・民族的迫害が問題になった例としてはドイツナチスによるユダヤ人虐殺、所謂ホロコーストが挙げられますが、今回もそれに匹敵するほどの大問題といえるでしょう。

しかも、この悲劇は現代おいて表面化しただけで長い期間続いてきた問題でした。

しかも政府が率先して行う民族浄化なので、ロヒンギャの人々は国外に逃亡するしか逃げ道はありません。しかし、なぜこのような民族浄化がミャンマーで行われているのでしょうか?

ミャンマーは民主化が進み、日本とも昔からかかわりの深い国でもあります。その国でいったい何が起こっているのか、その原因や現状等をわかりやすく説明していきたいと思います。

 

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ロヒンギャ問題の原因と置かれた状況

ミャンマーでは1982年に軍事政権によってミャンマー人を定義する「国籍法」が整備されました。その法律によってミャンマー人の定義から外れるとされたロヒンギャの人々は、今なお無国籍状態に置かれているのです。

ロヒンギャ族は昔からその地に定住する民族であるにもかかわらず、ミャンマー政府はバングラディシュから移住してきた不法移民として扱い、差別されてきました。

国民の95%が仏教徒であるミャンマーでは、イスラム教徒のロヒンギャの人々は異端とされ、宗教的な意味でも存在を否定され続けてきたのです。

また、バングラディシュでも虐殺に耐えかねた難民が大量に流入してくるロヒンギャの人々を快く思ってはいません。それどころか、逃げて来た難民の人々をミャンマーに引き取るよう強制送還を行っています。

これではロヒンギャの人々に逃げ場などありません。その結果、今では「世界で最も迫害されている人々」と呼ばれる民族となってしまったのです。

 

ロヒンギャの人々の現状

ロヒンギャの人々の虐殺がここ最近になって行われたわけではないということはご理解いただけたでしょう。しかし、なぜ今になってロヒンギャ問題が大きく報道されることとなったのでしょうか。

問題の始まりは2016年10月にまで遡ります。

ミャンマー軍は「ロヒンギャ武装集団による国境警官の殺害事件」を口実にラカイン州で攻撃を開始しました。その結果、ロヒンギャの人々の住まう村3つの400以上の住居が破壊され、村全体が焦土と化してしまいました。

その虐殺の様子は語るのもおぞましいほどでした。子どもや女性は真っ先に標的にされて皆、むごい殺され方をしました。

2017年9月の時点では死者は400人を超え、3万8000人の人々が国外に避難することを強いられています。しかし、バングラディシュ国境に押し寄せる難民に対してバングラディシュ政府は入国を拒んでおり、国境を隔てる川で水死する人々が後を絶ちません。今なおこのむごい状況が続いているということを、私たちは知っておかなければなりません。

 

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避難先でも苦労を強いられるロヒンギャの人々

ロヒンギャの人々は上手く国外に難民として非難しても大きな壁が立ちはだかっています。その原因はミャンマー政府による国籍法で「無国籍状態」にあることです。

これにより、合法的に外に出たくてもパスポートがないために出ることが出来ない人々もいます。そのため、偽造パスポートを作って国を渡る人々もいます。

しかし、偽造パスポートで入国した人々はどんな理由があろうと不法移民です。

渡った国でそれが発覚すれば強制送還は免れません。人々はいつか来るかもしれないその日に怯えつつ、祖国の同胞たちを心配する日々を送っています。

 

国内にいても国外にいても安心して暮らすことのできないロヒンギャの人々。彼らが安心して暮らせるようになる日はいつの日になるのでしょうか。

日本政府はミャンマー政府と親しいため、おそらく今回の問題に対してあまり強く言えない立場にあると推測されます。また、日本は難民の受入れに消極的な国です。今後も率先して彼らを受け入れるという政策をとることはないと私は考えています。

 

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まとめ

ロヒンギャの人々の状況を知れば知るほどに早期解決をするべきだと私は思います。

犠牲者が大量に出ている以上、ミャンマーは北朝鮮以上にひどい行いを現在進行形で行っているとも言えるでしょう。2017年10月16日のEUの外相理事会で北朝鮮同様にミャンマーの制裁内容も話し合われたようです。今後世界各国でもこの人権問題に関してミャンマーに制裁を加えていく可能性は十分あります。

その時、ミャンマーと昔から親しい関係にあった日本はどのような立場をとるのでしょうか。

今後、アジアの市場が重要になるにあたり厳しい制裁が行えない立場にあるのだろうと私は推測します。

しかし、国家・組織で行う虐殺である以上国際社会が一体となって助けなければロヒンギャの人々は絶滅するまで虐殺される対象となってしまいます。そうなる前に国際社会はこの問題を重く受け止め、動かなければいけません。

一日でも早くロヒンギャの人々に平穏が訪れることを私は祈っています。