公害というのは、経済の発展のために
付き物であると考えている人もいるかも知れません。

しかしながら、人の健康を脅かしながらの
経済の発展というのはどうなのでしょうか。

公害問題、日本と世界

 

公害問題において、まず問われるべき3つの質問

公害問題というのは、
決してそんなにシンプルな問題ではありません。

まずこれを考える上で、必ず問わなければならない質問があります。

それは

公害と経済の妥協点はどこか

政府はやれることをやっているのか

対策はできないのか

です。

 

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公害と経済の妥協点はどこか

これはつまり両者を天秤に
掛ける必要があるということです。

たとえば、いくら公害で健康に害あると言っても
基本的には害ではなく、最悪でも
少し咳が出る程度という僅かな害であったとします。

そしてそれに対して規制をし、
経済成長に影響を与えたとします。

そうなると本来経済成長によって
得られた恩恵が公害による被害を大きく上回ります。

極論を言えば、たとえ公害が
もう少し大きくて多少の犠牲者が出たとしても
経済成長によってしっかりした医療が
受けられるようになったら、
結果的にそちらの方が犠牲者が減る可能性もあります。

ただし、人間だけではなく
環境に対しての害もあるので、
その辺りはまた倫理的な観念も
絡んでくる話ではあります。

ともかく、妥協点を考える必要があるということです。

 

政府はやれることをやっているのか

しかしながら、妥協点を考える他にも
できることがあります。

それはまず一つに、政府が
しっかり機能しているかどうかです。

政府による国の管理の仕方によっては
いくら国自体はそれほど豊かでなかったとしても
貧しい国民が少なかったり、社会保障が
しっかりしていて最低限の生活は保障されていたりもするはずです。

その点、独裁的な政府だと
国の財産を独り占めにしたり
貧富の差が開こうと、国全体として
経済が発展していればお構いなしであったりします。

もしたとえそれほど豊かではなくとも
多くの国民がある程度以上
生活水準を保つことができているのであれば、
リスクを取ってまで経済成長を突き進む必要はなくなってきます。

 

対策はできないのか

ただ結局のところ、公害を出さないようにして
それが経済成長を鈍化させることにもならない
のであればそれが一番理想的です。

そのような都合の良い方法が
本当にあるのか、と疑問に
思われる方も多いかも知れませんが、
問題と向き合ってしっかりと考えれば、
意外と糸口は見えてくるものなのです。

過去の日本では、

「経済の発展のために必要なこと」

とされていましたが、
これにはある種の思い込みが入っていました。

当時の政府や一般市民は
公害を受け入れる姿勢であったために
対応策を考えることに真剣ではなかったのです。

しかしその後、公害が明らかに
人体の健康を蝕むという事実が判明した後は
その問題と真剣に向き合い、対策を考えたために
それなりに良いアイデアもでてきました。

結果的に、経済成長を
大きく損なうことなく公害問題を解消できたのです。

真剣に考えていないと
「白か黒か」
しか頭にありません。

つまり、妥協点が極端に寄ってしまうのです。

しかし「白と黒の間にある色」
を意識すれば、様々な対応をすることが可能になります。

これは何事にも応用できる話なのですが。

 

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公害対策をしないのはデメリットばかり

現在、公害問題で一番に上がってくる国はやはり中国でしょう。

中国は共産党一党が完全に権力を握っていて、
独裁的な政権となっています。

詳しくはこちら

中国政府は公害で健康を害している人が
各地から多数報告されても、
それを強引に抑え込んでいました。

そのため各地で暴動が起き、
そこで初めて動き出したのです。

ここで中国の言い分としては、
「なぜかつて日本は散々公害問題を起こして発展したのに我々は駄目なのか」
です。

一見すると、筋が通っているように聞こえるかも知れません。

しかしながら、当時の日本と現在の中国、
そして他の発展途上国では全く状況が違うのです。

公害が問題となっていた
当時の日本は、前例がなかったために
その対策案が何もない状態でした。

しかも当時は公害のみならず
環境に対しての配慮が世界全体で
希薄だった時代であったため、
他に当てがなかったのです。

ですから、「公害問題を解決するには、
工場の生産ラインをストップするしかない」

となったのです。

このような状況であれば、
「多少の健康の害は耐えなければならない」
と考えるのも無理はないのではないでしょうか。

その点、現在では世界中で
環境保全に対する意識が
ずっと強くなっています。

そのためにビジネスとしても
環境への配慮が好感度が上がるようになっていて、
どこの企業も環境配慮の製品を考案することに躍起になっています。

 

そんな中、中国政府の対応はあまりに安直過ぎるように感じられます。

現代の環境や公害問題に対する
世界的なスタンスを考えれば、
生産性をほとんど落とすことなく、
かつ一般市民の健康を守ることは十分に可能なはずです。

それに人間の体に良くないということは
環境にも害であるという連想をされて
企業イメージとしても良くないでしょう。

その点を考えると、経済の発展という点においても
明らかに公害対策を考えた方が
メリットは大きいだろうと思います。

独裁政権は得てして
こういった目先の利益に囚われた
視野の狭い強引な政策をしてしまうので、
すごく損をしていると思いますね。

本来であれば、中国という国は
もっと経済発展しても
おかしくないと思います。

 

日本がすべきこと―経験を世界に伝える

環境・公害対策として、やはり
リードするべき国は日本だろうと思います。

先進国として、そして
公害問題を直に経験した国として、
その経験と対策を世界の発展途上国・
新興国に対して積極的に伝えるべき
だということを思いますね。

そして発展途上国・新興国の方も、
積極的に日本からその対策なり、
技術なりを取り入れるようにしてほしいです。

それがお互いにとって、間違いなくベストですよね。