鴻海によるシャープの買収交渉は
実現しそうな方向で進んでいますが、
その前にまだいくつかの障壁がありそうです。

 

鴻海が違約金合意

シャープは鴻海の買収を受け入れるか、
それとも政府系ファンドによる
産業革新機構の支援を受け入れるか
どちらを選択するかで注目されていましたが、
どうやら鴻海を選ぶ気持ちを固めたようです。

鴻海側は買収に当たって
「シャープの従業員を守る」等の
シャープ側が懸念している部分の
多くを譲歩する約束をしていました。

参考関連:鴻海がシャープを買収する目的は?社員を大量リストラするのか

しかしそれでもただの口約束だけでは
信じられないところがあったのですが、
それに対し鴻海はもし約束を破ったら
違約金を支払うという旨を契約内容に
含めることを発表したのです。

その額は、なんと1000億円。

これだけの額であれば違約してくれても
シャープにとっては好都合なくらいです。

それも、鴻海側はシャープ側の出した要求を
ほとんど受け入れていると報じられています。

こうなると、シャープとしては
政府系ファンドの産業革新機構から
支援を受けるよりも、鴻海に買収された方が
企業にとってプラスは大きいと考えるのは
自然なことだったのではないかと思います。

 

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シャープ側が偶発債務を隠ぺい?

しかしながら、そのままトントン拍子で
合意にまで達することはありませんでした。

シャープ側が数千億円の偶発債務を
抱えていることが明らかになったのです。

なぜ今更こんなものが出てきたのか、
シャープ側がどのような意図であったかはわかりません。

偶発債務とは、現時点ではまだ発生していないが
将来的に発生する可能性のある債務の総称です。

ですからその発生の可能性は100%ではなく、
債務は債務でもかなり曖昧な債務であると言えます。

そうなると曖昧であるからこそ、
鴻海側に伝えるタイミングを
見失ってしまった可能性もあります。

しかしそうではなくて
交渉を有利に進めたいが故に
敢えて意図的に隠していたのであれば話は別です。

実際、鴻海側はすでに買収の準備に掛かって
「よし」と腰を上げたところだったので、
今さら実は数千億円の偶発債務があります
と伝えられても引くに引けないでしょうからね。

 

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鴻海の策略?

また逆の視点として、鴻海側の方が
敢えてしっかり確認しなかった、
あるいはすでに織り込み済みであった可能性もあります。

大概の会社は大なり小なり
偶発債務を抱えていますし、増してや
シャープは経営不振だったわけですから
そのくらいのことは予測できたはずだからです。

後になって新たな債務が発覚したとなれば、
「シャープふざけるなよ」
という話になるので、そうなれば
鴻海側としては揺さ振りを掛けることができます。

実際三月中の契約締結の方向で
話が進んでいるようなので、
もしかしたらこれも鴻海側の
戦略の一つであるのかも知れません。

 

結局ビジネスとは駆け引きであるので、
両者ともそれぞれの思惑を抱いて
自分たちにとってなるべく優位な契約をしよう
と色々策を講じること自体は悪くはないのですが。

ただ不誠実に感じられるような行為をするのは
今後のことを考えても良くないとは思いますけどね。