筋肉ムキムキの凄まじい体で
見る者を圧倒するボディービルダー。
しかしそんな逞しい見た目や
イメージからは全く想像できない話ですが、
実は彼らは餓死してしまう可能性を秘めているのです。
人間が餓死する理由
なぜボディービルダーには餓死の可能性があるのか。
それについて語るには、
まず餓死がどのような仕組みで起こるのか
を理解する必要があると思います。
まず生物が生き続けるためには、
大きく分けて次の二つが必須となります。
・栄養
・エネルギー
栄養とは、臓器であったり、骨や歯であったり
皮膚であったり爪であったり
等、人体を構成する細胞を作る素となる成分のことです。
それに対してエネルギーとは、
それら人体の細胞たちにとって
その原動力となる成分のこと、
つまり自動車に例えると燃料のことです。
餓死というのは、
通常は栄養とエネルギーの両方の不足によって
内臓機能が衰え、さらに燃料も切れることによって
生命活動を維持できなくなって引き起こされます。
しかしながら、たとえ
内臓機能はしっかりとしていたとしても、
燃料が切れてしまえば臓器は活動できなくなります。
どんな高性能な自動車でも燃料なしでは走れませんよね。
電気自動車であっても、
電気を充電する必要があります。
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ボディービルダーの餓死
ボディービルダーの場合、
普段からものすごい量の食事を食べています。
ですから栄養が不足しているということは基本的にありません。
確かにタンパク質メインではあるのですが
魅せる体、筋肉美のためには
健康的な身体を作らなければならないので、
むしろ一般の人よりも食事バランスは良いのです。
ボディービルダーで問題となってくるのは、
エネルギー量の方です。
筋肉というのは、付ければ付けるほどに
その維持のためにより大きなエネルギーが必要となるのです。
しかもボディービルダーは
エネルギーの元となる炭水化物やその他の糖分をあまり取りません。
体脂肪を高めることに繋がってしまうからです。
タンパク質も一応エネルギーに
変換することはできるのですが、
あまり効率が良くないのと、変換までに時間と手間が掛かったりします。
その結果、エネルギー供給が
生命活動の維持するに至らなくなることもあるのです。
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脅威的で有名な話
ボディービルダーに餓死の危険性がある
とは言っても、それはあまり現実的ではありません。
何故なら、人体は基本的に
体に足りない栄養素を欲するので、
もしエネルギーが足りなければ真っ先に
エネルギー補給物質を欲するからです。
食べ物がなくて困っているのであれば別ですが、
ボディービルダーの場合であれば間違いなく
必要な種類の食べ物はいつでも食べられるはずですからね。
しかしながら、ボディービルディングによる
餓死の大変有名な例があります。
マッスル北村さんという方なのですが、
2000年に餓死によって亡くなられています。
この方はあまりにもボディービルディングに対して
ストイックであったために、異常なまでの食事制限と
筋力トレーニングを実行していました。
脂肪の元となる糖分の摂取を徹底的に避けたために、
体脂肪率が3％以下にまで至ることもあったそうです。
しかしながら、脂肪分というのは
体内における貯蔵エネルギーであるため、
少な過ぎるということはエネルギーの予備がないということです。
ただし脂肪として存在する
エネルギーは変換される必要があり、
直接使用できるエネルギーは通常血液の中にストックされています。
それが血糖値です。
つまり生命活動のために必要なエネルギーは、
血液から各臓器、または筋肉を含む各細胞に常時送られているのです。
しかし成人平均の血糖値が100mg/dlに対して
マッスル北村さんの血糖値は13mg/dl程度しかなかったと言われています。
そうなると各臓器、細胞の機能維持が
本当にギリギリの綱渡り状態となります。
ですから一見健康そうに見えても、
突然身体に異変が生じる危険性が非常に高くなります。
実際にマッスル北村さんも、何度も倒れて
病院に運ばれたことがあったそうです。
そして最終的に、命を失うことに繋がってしまったのです。
周りの人たちも常に心配していたそうなのですが、
ご本人は耳を貸さず、自分の意志を貫いていたようです。
マッスル北村さんは驚異的な意志の持ち主
であったために人体の本能にも抗い抜きました。
果たしてそれが正しかったのか、とは思いますが・・・。
